パリ五輪でのライバルについて、阿部詩は「52kg級は全体的に強くなっていて、全員がライバル。でも一番はフランスのA・ブシャール選手。投げられる時間帯がつかめない選手で、1秒たりとも気が抜けない」と語った。東京五輪の決勝で、阿部詩と延長にもつれる8分を超える激闘を繰り広げたフランス代表・Aブシャール(29歳)は、東京五輪以降、個人戦では無敗の阿部詩が2019年のグランドスラム大阪で唯一負けた選手。東京五輪は無観客だったが、アウエーの空気感について、阿部詩は「(有観客は)すごく楽しみでもあり、恐怖でもあり」と語った。柔道人口は日本の3倍以上、およそ50万人を誇る“柔道大国”フランス。“最大のライバル”Aブシャールが、地元・フランスで阿部詩の前に立ちはだかる。阿部詩は「海外での五輪を経験した方に聞くと、『コーチの声も聞こえなくなる』という。どんなにアウエーでも立ち向かっていかないといけない。でも金メダルを取ったときには、自分にすごい拍手だったり歓声が送られるなと思うと、余計に燃え上がる」と語った。主要国際大会では8度の同時優勝を達成した阿部兄妹。前回の東京五輪では、阿部詩が出場した女子52キロ級の決勝の後に兄・阿部一二三の男子66キロ級の決勝が行われたが、パリ五輪では試合の順番が逆になり、兄・阿部一二三から妹・阿部詩にバトンが渡される。阿部詩は「(兄の)試合は見ずに自分の試合に集中して、(兄の)結果だけ聞いて決勝の舞台にあがりたい。誰もが成し遂げたことのない歴史を作れると思うと、すごくワクワクする。兄妹で必ず金メダルを取りたい」と語った。競技人生で大切にしている言葉は「千里の道も一歩から」。阿部詩は「何事もどんなに大きいことを成し遂げるのにも、はじめの一歩がすごく大切。一歩踏み出さないと始まらないので、しっかり自分の胸に刻んで頑張っています。パラ五輪では兄と2人で金メダルを取り、笑顔で日本に帰ってきたい。皆さん、テレビの前で全力で応援よろしくお願いいたします」と語った。