去年6月に日本製鉄がアメリカの鉄鋼大手のUSスチールを完全子会社化して1年となる。USスチールはアメリカの製造業を象徴する会社だっただけに、外国企業による買収に労働組合が反発したほか、大統領選もからみ買収計画は政治問題化した。最終的にはアメリカ政府が買収を承認し決着したが、買収に動き出してから約2年の月日がかかった。USスチールは経営が厳しく設備も古く生産性が低いことが長年の課題だった。日本製鉄はUSスチールの生産性を上げるため、100人規模の技術者を派遣し260の改善項目を洗い出して製鉄のノウハウを共有した。当初懸念されていたトランプ政権による政治的な介入はなく組合との関係もうまくいっているという。一方で、アメリカはインフレで工事費が膨らみ投資額が膨張しないか、人材を確保できるかが課題。日本製鉄・森高弘副会長は今月の取材に対し「当社の成長は海外に求めるしかない。ほかに選択肢がない」と話していた。鉄鋼業界で中国との競争が激化する中、米など海外の成長市場で収益を上げることが戦略となっている。
