パキスタンでは、北西部の山岳地帯で水産業が活発になっている。ヒマラヤ山脈からの豊富な水源を活かしたマスの孵化施設では、地元住民が長年養殖に取り組んできた。この地域では、以前水質管理の問題があり、多くの魚が出荷前に死んでしまっていたという。日本のJICAが技術を支援。州政府担当者のアフマドさんは、養殖技術の向上を目指し、3年前から2度にわたり日本を訪問。受精卵を病気から守る方法を習得した。薬品の代わりに殺菌作用のある銅線を入れることが効果的だと学んだ。受精卵に一定の圧力をかけることで、肉質のよいマスを育てる技術も教わった。マスの養殖を観光振興にもつなげようと、施設にはレストランも併設。アフマドさんは日本で学んだ技術を地域に約200社ある民間の養殖業者に伝えている。地元当局は、養殖のマスの売り上げは、将来的に年間数十億円になるとしている。