イスラエルのアル・サーイードには約6000人の人が住んでいる。この村は耳の聞こえない人が150人以上いる。ある医療団体がこの村を訪問し治療を進めたが「なぜ口と耳での会話にこだわる？」と拒否する人たちがたくさんいた。耳が聞こえないジュマに同行しながら村を取材した。この村では村人のほぼ全員、手話ができ、手話で会話をしている。1800年代前半にこの地に住み始めた人の中に聴覚障害の人がいて、その後、同族内で結婚を繰り返したため耳の聞こえない人が多くなった。この村の人達は耳が聞こえないのをまったくマイナスに考えていなかった。ジュマの仕事は整備士。ある日、言語学者たちがジュマを訪ねてきた。この村の手話は、学者たちからは表現力が高いと評価され、学会で論文が発表されるなど国際的に注目されている。また違う日、耳の治療をすすめようと医療団体がやって来た。説明会には多くの人が集まった。手術費用は無料。村人の中には興味を持つ人も現れた。サリムは2歳の息子に人工内耳の手術を受けさせることにした。