格差の実態をデータで読み解いている早稲田大学(社会学)の橋本健二教授は「非正規雇用者として非常に不安定で低賃金で働く人々が増加して、その厚みを増してきたのではないか」と警鐘を鳴らす。教授が指摘するのが雇用される側の労働者が事実上2つに分断されているという現実。特に夫の安定した収入があるパートタイムの女性を除く非正規雇用の人たちは、今や890万人に達している。就業人口の約7人に1人が占めるこの層を、橋本教授はアンダークラスと呼ぶ。橋本教授は「非正規雇用の大部分が未婚者。経済的に苦しいので結婚できない。子どもを生み育てることもできない。今までの労働者階級とは根本的に違うという意味でアンダークラスという言葉を使っている」などと説明した。橋本教授が調査したところ、アンダークラスの59歳以下の平均年収は216万円。正規雇用の半分に満たなかった。いくら働いても抜け出すことが難しく、格差が固定化される傾向が強い。橋本教授は「格差の拡大した社会では人々の連帯感が失われる。人々の間の敵対心が強まる。助け合いがなくなり、困ったことがあっても誰も助けてくれない。さらに困難な状況に追い込まれる。社会全体が病気になっていく」などと説明した。
