大阪公立大学客員准教授・馬淵磨理子に決済サービスの統合について話を聞いた。決済プラットフォームの再構築を図り、先行するp「PayPay」「楽天ペイ」などに対し本格的な巻き返しを図るイオンの経営戦略の一貫と受け止めているが、「PayPay」「楽天ペイ」の圧倒的な認知度とユーザーの囲い込みを崩すのは用意ではない。ユーザーに寄り添ったさらなる付加価値の充実を努めている。最大の特徴は、コード決済とタッチ決済を1つのアプリに集約したこと。約180の地域、団体への寄付機能による決済を通じた地域貢献は、他社がすぐには模倣できない独自のポジション。ユーザーの獲得には物価高で消費者の実質的な値引き効果への期待が高まる中、日常的なポイント優遇などや物価高の影響を受けやすい消費カテゴリー限定した還元策などが有効。もう1つは様々な事業を展開しているイオンならではの強みを活かすこと。暮らしを支えるサービスと「新AEON Pay」をシームレスに結びつけ、イオン銀行の口座連携による還元増などは生活インフラとしての差別化につながる。地域貢献型決済、物価高対策、生活インフラの連携の3つを軸にコアな支持層を確実に取り込みつつ、さらにイオングループの展開を着実に進めることが現実的な成長シナリオ。イオンの総合力と地域密着型のブランドをどこまでスマホ決済の世界に持ち込めるかが勝敗を分けるポイント。