2017年に創業した「イカロス・ブリューイング」。主力のクラフトビールは地元のバーや酒屋など400店舗に出荷。従業員約30人で製造や販売にあたっている。製造ラインの責任者をつとめるカーティスさんたちはこれまで数百種類の商品を開発。ヒット商品にもめぐまれ事業に自信を深めているという。去年の夏には生産拡大のために工場をより広い敷地に移転。ドイツから最新鋭の機械を導入するなど将来への投資を続けてきたが、先月、トランプ大統領が鉄鋼・アルミへの関税を発表すると状況は一変した。国内で消費するアルミの半分近くを輸入に頼るアメリカにはすでに値上げの波が来ていて、カーティスさんの会社ではコスト削減策の検討を始めている。発酵用のタンクはステンレス製で、追加購入しずらく、会社の経営計画に“狂い”が生じている。関税政策などの見通しが不透明ななか、中小企業を対象にしたある調査では経済の先行き不安を示す指数が大幅に上昇。過去の大統領選やコロナ禍を超える水準となっている。現在、カーティスさんたちが販売するクラフトビールは4本セットで平均2200円ほど。すでに大手メーカーより高めの価格だが今後も高い関税が続けば10%以上値上げする可能性もあると話す。