日本製鉄は、提携関係にある韓国最大手の鉄鋼メーカーの株式をすべて売却する。日本製鉄が売却するのは、保有している「ポスコホールディングス」のすべての株式で、ポスコ株全体の3.42%にあたる。会社によると、現時点での資産価値は1150億円に上るという。売却の理由は資本効率を高めるためだとしているが、売却後もカーボンニュートラルや中間製品の相互供給など、業務面での提携関係を続けるとしている。日本製鉄は中国メーカーとの合弁事業も解消したばかり。その分、米国事業に力を入れるとみられている。USスチールの買収計画について、米国・トランプ前大統領が「われわれは愚かな政権によって鉄鋼会社を再び失い始めている。われわれはUSスチールをこの地で守り続ける」と発言。USスチールの買収計画には、米国の鉄鋼業界の労働組合が強硬に反対している。日本製鉄は労働組合への説得を試みるも組合の執行部は全く交渉に応じないという。さらに組合は不正確な情報を流していて、それに対抗するため日本製鉄側はきのう、USスチールの従業員に宛てた文書を公表した。従業員の雇用や福利厚生を守ることなどが書かれており、根拠のない臆測を打ち消す内容になっているが、今のところ組合側から歩み寄る兆しはない。買収計画を巡っては、米国政府の委員会が審査を進めていて、その判断は11月の大統領選挙後に先送りされる見通しになった。かなりの長期戦となるが、組合の姿勢が鍵を握る状況は変わってはいない。