石川県羽咋市の村本さんは、国の特別天然記念物トキがかつて生息していたこの街で、半世紀以上にわたり、中国と共同での保護活動に尽力してきた。村本さんは、戦時中、徴兵年齢にも満たない18歳で、軍隊に入ることを志願した。戦地・インドシナ半島で、村本さんは、兵士として雇われた現地住民の遺体と、それに抱きついて泣いている遺族の姿を見て、敵だとしてもかわいそうだと思ったなどと話した。終戦の翌年、自宅に戻ると、仏壇に自分の遺影が飾られていた。戦死した知らせがすでに入っていたという。一度は死んだ自分とかつて絶滅した野生のトキの存在を重ね合わせる村本さん。戦争の経験がトキへの思いを強くした原点だという。羽咋市では、早ければ来年6月、本州で初めてトキが放鳥されることになった。村本さんは、羽咋の上空をトキが飛ぶ、それを見て天寿を全うしたいなどと話した。