日産自動車の内田誠社長が、今月末で退任する。さらに、生産や技術開発を担当する2人の副社長も退任するなど、経営陣を刷新する。2019年から日産のかじ取りを担ってきた内田氏。ゴーン元会長時代の拡大路線からの転換を進めたが、抜本的な改革には至らず、業績は再び悪化した。そうした中、踏み切ったのがホンダとの経営統合協議。しかし、僅か1か月半で打ち切りとなった。業績の悪化に加えて、ホンダとの経営統合の協議で混乱を招いたとして、経営責任を問う声が高まっていた。内田氏の後任の社長に就任するイヴァン・エスピノーサ氏は、メキシコ出身。2003年にメキシコ日産自動車に入社し、2018年から日産の常務としてグローバルの商品戦略や商品企画を担当。去年からは商品企画などの責任者を務めている。今年度の決算で、800億円の最終赤字を見込むなど、業績が急速に悪化している日産。経営立て直しに向け、2026年度までに、工場の閉鎖や生産ラインの集約などで、世界での生産能力を500万台から400万台へと、20%減らす計画を、これまでに明らかにしている。日産は業績の悪化が鮮明になる中、経営の立て直しが待ったなしの課題。新たな経営陣は、身の丈に合った生産規模への転換を進め、収益が出せる会社へと変えていく必要がある。さらに、EVやソフトウエアなどに競争の軸が移りつつある中、1社単独の生き残りは難しく、他社との提携も焦点。日産には、台湾のホンハイ精密工業が関心を示しているほか、社内や取り引き先などからは、再びホンダと統合協議を行うべきだとする声もある。新しい経営トップは、業績の立て直しとともに、将来の成長に向けた戦略を描くという、難しいかじ取りが求められている。