現地で取材をしているサンパウロ支局・吉永智哉支局長と経済部・野口記者に聞く。吉永支局長が解説:米国・トランプ次期大統領、就任前からG20に影響かについて「G20の会場には、米国・バイデン大統領をはじめ、各国の首脳が続々と集まってくる予定だが、陰の主役は米国・トランプ次期大統領と言えそう。多くの現地メディアも、トランプ次期大統領の存在がG20の議論などに影響を与えるだろうと伝えている」。議長国のブラジルの専門家・ジェトゥリオヴァルガス財団・ペドロブリテス氏は「バイデン大統領は出席しているがもはや代表ではない。ブラジルの懸念はG20で確立したものが、トランプ政権で台無しにされること」と指摘。吉永支局長が解説:ブラジルなどグローバルサウスの足並みの乱れについて「グローバルサウスの国々は、来年を含めると4年連続でG20の議長国を務めるなど、存在感を増している。ただ一枚岩ではなく、トランプ次期大統領との距離感でも違いがある。先週トランプ次期大統領と面会したアルゼンチン・ミレイ大統領は、ブラジルが首脳宣言に盛り込もうとしている超富裕層への課税強化など、一部の項目について合意するかどうかを保留にしていて、トランプ次期大統領に近いイーロンマスク氏の考えが影響しているのではないかと地元紙が伝えている。トランプ次期大統領の就任を前にG20は、国際協調よりも各国間の分断が際立つ場となるおそれも出てきている」。経済部・野口祐輔が解説:日本は今回のG20で何を訴えていく?「日本としては、G20は世界経済の成長や、エネルギー安全保障、気候変動対策を同時に実現する責務があるとして、すべての国が対立を超えて、責任を共有すべきだと訴えることにしている。日本は深刻化する途上国の債務問題に率先して取り組む姿勢を示すとともに、G20各国が連携した形での支援を呼びかけることにしている。石破総理大臣が国内で最優先の政策と位置づける防災の分野についても、日本の知見や経験を各国と共有する考えを示すことにしている」、石破総理と各国首脳の個別の会談も予定、焦点は?「英国・スターマー首相との会談では、外務経済閣僚による経済分野での協議の枠組み、いわゆる経済版2プラス2を新たに設ける方向で調整が進んでいる。トランプ次期大統領の保護主義的な政策への警戒感が広がる中、個別の国との関係強化につなげたい考え」。