- 出演者
- 広内仁 斉田季実治 佐藤真莉子 星麻琴 吉岡真央
オープニング映像。
全国的に気温が下がったきょう、季節外れの暖かさとなったきのうから一転、冷え込みが強まった。北日本や東日本では、山沿いを中心に雪の所も。青森・青森市・酸ヶ湯温泉付近では、観光客の車が動けなくなり、温泉宿の従業員の助けで事なきを得た。厳しい寒さは、あさってにかけて続く見込み。
パワハラの疑いなどで告発された問題で、県議会から不信任を議決され、失職した兵庫県・斎藤元彦前知事が、きのう投票が行われた出直し知事選挙で再選を果たした。今回政党からの推薦や支持がなかった斎藤前知事。勝因の1つとして挙げたのがSNSだった。再選を果たした斎藤前知事はきょう記者団に対し「県職員と打ち合わせ、議論し、来年度予算に向けた準備をしていきたい。県議会、県職員との関係をもう一度しっかり前に進めていく」と述べた。昨夜、斎藤前知事の陣営前に集まった有権者たち。多くの人が口にしたのが、SNSの影響力だった。みずからライブ配信を行うために県外から駆けつけた人も。どのようにしてSNSで支持が広がったのか。斎藤前知事は前回3年前の選挙では、自民党と日本維新の会から推薦を受けたが、今回は政党からの推薦や支持はなかった。組織の支援がない中で力を入れたのが、SNSでの発信。ライブ配信などでは、3年間の実績をアピールしたほか、生い立ちや小学校時代のエピソードなども織り交ぜていた。パワハラの疑いなど、斎藤前知事の厳しいイメージを払拭できるよう、人柄を知ってもらうねらいもあったという。SNSの影響力について斎藤前知事は「SNSの本当にプラスの面を感じた」と語った。SNSでの情報発信に力を入れていたのは、陣営だけではなかった。選挙期間中、斎藤前知事を支援していたあるボランティアグループの代表の男性は、SNSなどを通じて、約900人のメンバーが集まったという。現場での撮影担当やSNSの投稿担当などにグループ分けし、約400人が斎藤前知事の写真や動画をSNSに日々投稿。男性が支援を始めたのは、失職のきっかけとなった告発文書を巡り、SNSで情報を調べるうちに斎藤前知事への批判が一方的に高まっているように感じたから。ボランティアグループ代表は「SNSは問題もある。デマもフェイクも多い。同時に真実も存在する」と語った。しかし本人が誤った情報だと否定しても、SNSで拡散する状況が見られた。例えば、今回の知事選に立候補した稲村氏についてXでは「当選したら外国人参政権を推進する」という情報が広がった。これについて稲村氏は自身のウェブサイトで否定。しかしXで稲村氏の名前とともに、外国人と参政権に言及した投稿はきのうまでの1か月間で10万件を超えていた。これに関連してきのう落選が決まった際、稲村氏は「候補者の資質や政策を問うというより、何を信じるかが大きなテーマになった選挙。斎藤候補と争ったというより、何と向き合っているのかなという違和感があった」と述べた。
SNSの影響はこちらのNHKの出口調査でも明らかになった。投票する際に何を最も参考にしたのか聞いたところ、SNSや動画サイトがテレビや新聞を上回って、最も多くなった。SNSや動画サイトと答えた人の投票先を見てみると70%以上が斎藤前知事に投票したと答えた。期日前投票の日ごとの結果。序盤から中盤にかけては稲村氏がリードしていたが、終盤になると斎藤前知事が勢いに乗り、稲村氏を上回った。NHK神戸・上田泰成記者が解説:期日前の出口調査からも斎藤前知事が選挙戦の後半に追い上げていたことが分かったが、SNSの影響をどう見るのか、上田記者は「再選の原動力になったと感じる。斎藤前知事が失職した直後の駅前での活動から取材を続けてきたが、当初は立ち止まる人もまばらだった。その後、SNSで活動の様子や失職の経緯などが拡散され、都市部では多くの人が詰めかけるようになり、サインを求める人まで相次いだ。取材をしていても、SNSを見たら、斎藤前知事のイメージが変わったなどといった声も多く聞かれた。斎藤前知事自身も一夜明けたきょう“SNSなどを通じて集まる人が少しずつ増えていった。SNSは1つのポイントだった”と振り返っていた」などと選挙戦を通じての印象を語った。
今後の県政運営はどうなるのか。議会ではきょう早速動きがあった。斎藤元彦前知事の再選について、ことし9月、全会一致で不信任を議決した兵庫県議会・内藤兵衛議会運営委員長は「やらなければならないことは、県政の混乱を一日も早く修復、収束させていくこと」と語った。斎藤前知事がパワハラの疑いなどで告発された問題で、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会。きょう今月25日に斎藤前知事など4人に出席を求め、証人尋問を行うことを決めた。百条委員会では年明け以降に調査報告をまとめたいとしている。寂静委員会・奥谷謙一委員長は「粛々と調査を進めていくことがいちばん大事」と語った。
NHK神戸・上田泰成記者が解説:今後の県政運営の課題は?という問いに「再選を果たしたとはいえ、現時点では、県政の混乱が直ちに収まるのか見通せない。斎藤前知事はあす早速2期目のスタートを切る。来週25日には県議会の百条委員会が、改めて斎藤前知事に証人尋問を行うことになったほか、斎藤前知事は来月予定されている定例県議会で各会派の代表質問などに臨むことになる。今後、不信任を議決した県議会や県の職員とどのように信頼関係を構築していくのか。県政の安定に向けては当面、予断を許さない状況が続くことになりそう」。誤った情報も含まれるSNSだが、今や選挙戦に大きな影響を与えるものになっているといえる。夏の東京都知事選挙や先の衆議院選挙でも、SNSを通じて得票を伸ばした候補や政党がある。斎藤前知事はSNSも通じて多くの支持を得たが、次は早期に県政の混乱を収め、政策を前に進めるなど県民の負託に応えることが求められることになる。
誤った情報も含まれるSNSだが選挙戦において大きな影響を与える。今年行われた東京都知事選や衆議院選挙ではSNSの影響で得票を伸ばした候補や政党もあった。斎藤元彦前知事はSNSを通じて得票を伸ばしたが、次は早期に県政の混乱を収め、政策を前進させ、県民の期待に応えることが求められる。