米国・ウィスコンシン州から中継。トランプ氏はバイデン大統領をはじめとする政敵に対して攻撃を繰り返し、政治的な分断をあおったという批判を受けてきた。今回の演説でソフトな語り口で団結を訴えた部分だが、暗殺未遂事件をきっかけに包容力のあるリーダーへとイメージチェンジし、これまで攻撃的なトランプ氏を敬遠していた共和党内の穏健派や、無党派層にも支持を広げていこうという狙いが伺える。不法移民対策やインフレなどの課題を巡っては、バイデン政権の政策を厳しく批判していたが、バイデン大統領の高齢不安をあげつらうような個人攻撃は避けていた。これも穏健派や無党派層の取り込みを意識したためと思われる。一方で、トランプ節を取り戻したところでは、アメリカ・ファーストの政策も時間をかけてしっかりと訴えており、これまでの支持層へのアピールも余念がなかった。共和党としては、挙党態勢を演出して選挙戦に勢いをつけるという目的は十分に果たされた党大会だったと言える。一方で民主党は対照的に、党内からバイデン大統領の撤退を求める声が収まらず、大混乱に陥っている。現時点で共和党が勢いづいていることは間違いない。ただ、米国では共和党と民主党の支持層ははっきりと分かれていて、民主党の支持者がトランプ氏の支持に転じるというところは限られる。そのため選挙戦の行方を左右するのは無党派層。無党派層の中でもトランプ氏の支持が広がっているのか、まずは今後の世論調査が注目される。