ロシアの侵攻によりウクライナでは1年4か月以上戦闘が続いている。各国はこれまでミサイルや戦車など強力な武器もウクライナへ供与し支援を行なってきた。ゼレンスキー大統領はアメリカの独立記念日に向け、武器の支援に感謝するメッセージを送った。一方、日本がウクライナに支援してきたのは、ヘルメットや防弾チョッキなど殺傷能力のないものに限られている。武器輸出に関して日本は長い間、厳しく制限してきた。武器輸出3原則が2014年、安倍政権で見直されることとなり、防衛装備移転3原則と名前を変え、紛争国への輸出を禁止する一方で平和貢献、国際協力に資する場合は認めることになった。輸出を認めるのは救難・輸送・警戒・監視・掃海の5類型、殺傷能力のある武器は輸出できないとされてきた。岸田政権は昨年12月、国家安全保障戦略を改定、「防衛装備移転3原則」の見直しを検討すると明記された。これを受け、自民党と公明党は4月、防衛装備品の輸出緩和に向けた協議を開始した。輸出制限見直しの背景には、衰退する国内の防衛産業を守る狙いもあるという。小野寺元防衛大臣も「防衛産業は防衛力そのもの」と述べている。防衛輸出品の制限緩和の具体的な結論は秋以降に出される見通し。