ウミネコの大群がマンションの上空を旋回。早朝から深夜まで、近隣住民はウミネコの大きな鳴き声に悩まされている。更にウミネコのフンでマンションの外壁や車のフロントガラスまで被害に。東京都によると、江東区、台東区、中央区、千代田区、墨田区で被害が報告されている。本来は沿岸域に生息して主にエビや魚などを捕食するウミネコ。東京都に生息するウミネコの調査を行った専門家は「都心から東京湾は非常に近い所にある。東京湾はウミネコの主たるエサ場になっている。通うのが容易な範囲内にある。ビルはネコなどの天敵、人間も近づきにくい環境なので、安心して子育てができる環境にある。屋上の緑化が関係している。ウミネコが巣を作るのに材料になる植物がある。温度の変化が穏やかなので卵やヒナの成長に適している」と指摘。東京都では2001年から一定基準以上の敷地で開発や建築などを行う場合、屋上などの緑化を義務化。しかし、これが繁殖を誘因した可能性がある。2020年頃から苦情が増加した江東区では繁殖期前の2月頃から建物の所有者に対して屋上の定期的な見回りや緑化スペースへのネットの設置など対策を呼びかけている。ところがネットの上に卵を産んでいた。巣を10個近く作られたことから屋上の緑地にネットを張る対策を施した別の区のマンションでは対策に100万円前後かかっているという。一度繁殖活動をした場所が気に入れば翌年以降も戻って来る傾向にあるというウミネコに住民の不安は尽きない。東京都によると、産卵前の巣は撤去可能だが、鳥獣保護管理法により都知事の許可なく卵やヒナの捕獲はできない。2022年度から第13次東京都鳥獣保護管理事業計画を実施。繁殖による被害発生時期に限り23区で卵・ヒナの捕獲等が可能になった。専門家は「今の対応の仕方は各ビルのオーナーさんがウミネコを追い出したり防御している段階。そのビルだけで解決しても他のビルに移っていくだけ。やると決めたら徹底的に追い出す」と指摘した。