冷戦終結後、最大規模ともされる身柄交換。身柄交換の対象は、米国やロシアのほか、ドイツやベラルーシなど合わせて7か国にまたがる。欧米側からは10人、ロシア側からは16人、合わせて26人が互いに引き渡された。このうち、米国に帰還したウォールストリートジャーナルの記者のエバン・ゲルシュコビッチ氏と元海兵隊員のポール・ウィラン氏は、いずれもスパイ活動をしていたとしてロシアで拘束され、禁錮16年の判決を言い渡されていた。ウォールストリートジャーナルによると、バイデン大統領は大統領選挙からの撤退圧力にさらされる中、ぎりぎりまで外交努力を続けていたという。ハリス副大統領は今回の身柄交換に関して「外交の力と同盟の強化がもたらす力」とコメント。ロシア・プーチン大統領も、みずからモスクワの空港に出向き、身柄を交換された人たちを迎えた。ロシア連邦保安庁の工作員だったワジム・クラシコフ元大佐は米国の有力紙によると、今回、ロシア側が引き渡しを強く要求していたという。元大佐は、ドイツで亡命中だったロシア南部チェチェンの元戦闘員の男性を殺害した罪で終身刑の判決を受けて、服役していた。プーチン政権としては、元大佐の帰還で、みずからの体制に忠誠を尽くす人物を守る姿勢を改めて示した形。今回の身柄交換で、米ロの関係はどうなるのか。その中でもとりわけ注視されるのがウクライナ情勢への影響。戦争終結へと向かうのかと問われたサリバン大統領補佐官は「戦争を巡る外交にが関係ない」とこれを否定、主導権はウクライナにあるとした。