全身の筋力を次第に失う進行性の難病と向き合う中、大学で社会福祉士を目指して勉強している山本栞奈を取材。酸素呼吸器や授業などのサポートはヘルパーや学生ボランティアが行う。山本が動かせるのは、右手の一部と首から上だけ。今は口からほとんど食事をとれなくなり、胃に穴を開け直接栄養を送っている。山本は周りの人を戸惑わせないように病名を明かしていない。山本は幼いころに両親が離婚。5歳で児童養護施設に預けられることになり、高校卒業後は陸上自衛隊に入隊した。しかし原因が分からない体調の異変で自衛隊員を続けることができなくなり、その後症状が進んで入院を余儀なくされるようになった。山本は、半月に1度の訪問診療で医師から安定的に気道を確保する気管切開を提案されたが、手術をすれば声を失うことになる。そこで声が出せなくなったときを考え、自分の声を録音することにした。それをもとに、AIで合成した声で会話ができるようにするという。そんな中去年12月、山本は新型コロナに感染した。重症化のリスクもあったが、2週間ほどで症状が安定した。山本は「病気と闘ってるのではなく共存している」などと話した。そして4月、声を失ったあとも会話ができるよう準備してきた音声アプリが完成した。山本は「親から授かった命と声。大事にしたい」などと語った。