韓国では非常戒厳を宣言したユン・ソンニョル大統領の弾劾を求める議案を野党6党が提出し、国会できょう午後5時過ぎから議案の採決を行うための本会議が開かれた。議案の可決には与党「国民の力」から少なくとも8人の賛成が必要なことから与党議員の動きが焦点となっていた。しかし議案の採決を前に与党のほとんどの議員が退出。国会のウ・ウォンシク議長は与党議員たちに「戻ってきて。必ず投票してほしい」と呼びかけた。本会議が開かれてから4時間となる午後9時20分まで待つとしていたが、与党のほとんどの議員は投票しなかった。そして今日午後9時半ごろ、投票に参加した国会議員が200人に達しなかったことから議長は投票が成立しなかったと述べた。議案は廃案となり、これによってユン大統領は職務を継続することになった。最大野党「共に民主党」は投票に参加しなかった与党を強く非難。イ・ジェミョン代表はユン大統領の弾劾を求める議案が廃案になったことについて韓国最悪のリスクになっているユン・ソンニョル大統領を必ず弾劾すると述べて大統領の退陣を求める立場を強調した。野党側は来週11日に臨時国会の開催を求めていて与党との対決姿勢を強めている。一方、与党「国民の力」はコメントを出し「弾劾による国政のまひと憲政の中断の悲劇を繰り返すことはできない。8年前の憲政史上初の弾劾が残したのは国民の激しい分裂と混乱だった」としている。その上で「この非常事態を前に政権与党に与えられた責任と役割を果たす。弾劾よりも秩序ある責任ある方法でこの危機を早期に収束していく」としている。また廃案になったことを受けてハン・ドクス首相がコメントを出し、「国民の気持ちと大統領のことばを重く受け止めている。現状が早期に収束し、国家の安全と国民の日常が維持されるよう首相として全力を尽くす」としている。また「すべての閣僚と省庁の公務員は国民の日常が安定して維持されるように任務を忠実に遂行してほしい」と呼びかけた。日本国内の反応。外務省幹部はは「これですべておしまいではなく内政の状況が元に戻るわけではない。今後、何回か同じような議案が国会に出される可能性もあるほか、韓国の国民がユン大統領の続投をどう受け止めるかなど状況を注視していく必要がある」と述べた。その上で「日本を取り巻く安全保障環境や国際情勢を踏まえれば、互いの内政の状況にかかわらず日韓関係が重要であることに揺らぎはない。引き続き外交当局どうしの交渉を続けていく」と述べた。韓国国会から中継。ユン大統領の弾劾が廃案となるまで与党議員は本会議場を退場し別の部屋で待機していた。廃案となり与党議員が部屋から出ると野党関係者が追いかけ大きな声を挙げた。弾劾を求める議案は廃案となったがユン大統領の任期短縮などをめぐり与野党の攻防が一層激しさを増す。