エルサルバドル大統領選挙が行われた。現職のナジブ・ブケレ大統領が圧倒的支持を得たとして勝利宣言した。ビジネスマン出身で2019年、37歳で大統領に就任した。ユニークな言動が注目を集めた。独特の政策も話題となり、法定通貨にビットコインを採用した。何より国民の支持を集めたのは徹底したギャング対策。強権的との批判を受けながらも世界最悪だった治安を改善した。人口当たりの殺人件数が世界一だったエルサルバドル。2018年に人口10万人あたり51件だったが去年2.4件となりアメリカ大陸ではカナダに次ぐ低さとなった。就任当初から治安対策に力を入れてきたブケレ大統領。軍と警察をテコ入れしたほか、おととし非常事態を制限。憲法を一部制限し逮捕状なしで身柄拘束が可能にした。これまでに人口の1%を超える約7万5000人を拘束。世界最大と言われる刑務所も建設した。取り締まりのなかでギャングと関係がないのに家族を拘束されたという訴えも少なくない。選挙前に拘束された人たちの人権を訴える会見が行われた。ブケレ氏再選の先にあるのは独裁政権だと危機感を示す人もいる。中米メディアの編集長は政権の汚職体質を指摘、ブケレ大統領の問題点は強権的な治安対策に留まらないと軽傷を鳴らす。一昨年、裁判所の判事を事実上更迭し、憲法で禁じられていた大統領の再選を可能にした。政権の中枢を身内で固め大統領への権力の集中を進めていると指摘している。