京都の住宅街にあるレストラン「CAINOYA」。「経産牛」とは子どもを生んだメスの牛のことで、肉は赤身中心で味は濃いと言われる一方、出産していない一般的な和牛より硬いとされ、主にミンチや加工肉にされる。しかしこの店の経産牛は赤身を残しつつ和牛のような網目状の脂肪「サシ」が入っている。育てているのは「熟豊ファーム」と言う会社。4つの牧場で約1,000頭を飼育している。社長の石飛さんは実家が精肉店で子供の頃から経産牛の味の濃さが好きだった。その価値を高めようと経産牛専門の牧場を始めた。ここで育てた牛を「サステナブル和牛 熟」と言うブランドで出荷。サステナブルという理由の1つがエサ。各地の牧場から仕入れる経産牛はそれぞれ育った環境・食べてきたエサが異なるため、一定の肉質に育てるのが至難の技だった。そこで取り入れたのが食品残さ。地域の農家や食品会社から安く仕入れた。栄養価の高いものをバランスよくエサに混ぜて食べさせる。それを1か月ほど続けると栄養状態が揃う。半年ほど育て、一定の肉質にした上で出荷する。その品質はステーキの国際品評会で認められ金メダルに輝いた。販売パートナーとして支えるのが「銀閣寺大西」。海外に可能性を見出した。サステナブルな育て方も評価され、販売先は海外22か国に広がった。日本経済新聞社・田中さんは「熟豊ファームは環境に配慮した取り組みを進めている。カシューナッツの殻の成分をエサに配合することで牛のゲップにに含まれるメタンを最大6割り程度削減できるとのこと」と話す。サステナブルにはさらなる意味がある。実は後継者不足で子牛を育てる繁殖農家は10年で4割近く減少。母牛を買い取れば繁殖農家の経営がより持続可能になる。「LBS」は日経電子版で観ることができる。