レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級決勝。この階級で日本レスリング史上初の金メダルに挑むのは世界ランキング1位オリンピック初出場の日下尚選手(23)。日下選手の持ち味は相手を場外に出して点を取るスタイル。上半身のみを使って技を掛け合うグレコローマンで有効だという相撲スタイル。試合前には四股を踏むような場面も。実際にパリ五輪前には大関・琴桜に稽古をつけてもらうなど、相撲の感覚を大事にしてきたという。相撲を小学1年生から中学3年生まで教えた恩師の黒田さんは「グレコローマンはまわしのない相撲。前に出ないと勝てない意識は相撲の中でできているんだろうと思うので」と話した。厳しい攻めが特徴の日下選手だが、マットの外では明るい素顔も見せる。準決勝のあと、金メダルにかける思いを聞かれると、「もう金メダルしか見てないし、銀だと日本に帰れないので」と答えていた。決勝の相手は世界ランキング7位カザフスタンの選手。第1ピリオド開始から30秒。相手に1点を先制され、さらに1点を追加される。試合は2点差で第2ピリオドへ。相撲スタイルで相手を押し込み、4点を奪い逆転。その後も1点を奪うとタイムアップ。金メダル獲得。きのうの文田選手に続く連日の快挙となった。喜びを爆発させた日下選手。最初に向かったのは両親の元だった。日下選手は「きてくれたみなさんと自分の関係者、恩師、両親とかに感謝を伝えたくて最高っていうか感謝を伝えました」、「誰でも頑張れば立てる場所だと思います。自分がなれたんで」と話した。日下選手はその後、ウォームアップエリアで3位決定戦を前にした女子レスリングの須崎優衣選手とハグ。メダルへの思いをつなげた。