トランプ氏は、前回の大統領選挙でバイデン大統領が黒人からの圧倒的な支持を集めて勝利につなげたことを教訓に、早くから黒人票の取り込みに力を入れてきた。前回の大統領選挙では、黒人有権者のうちトランプ氏に投票したのは僅か8%だったが、ワシントン・ポストは去年9月、5つの世論調査の平均値で黒人有権者の20%がトランプ氏を支持していると伝えていた。バイデン大統領への黒人の支持は、インフレやバイデン政権のイスラエル支持などを背景に低下が指摘されていた。しかしハリス副大統領が後継候補となる見通しとなり、黒人候補であることを前面に打ち出す中で、バイデン大統領から離れていた黒人の支持も一気にハリス氏へと動いていた。こうした状況に焦りを感じて「ハリス氏は突然、変身して黒人になった」という今回の発言が出てしまったのかもしれない。大統領選挙では失言、とりわけ人種や性別を差別するようなものは特に投票先を決めかねている無党派層にとってはマイナスポイントになる。今後の選挙戦への影響が注目される。