アメリカ・サンフランシスコの中心部では小売店が相次いで撤退し、集団脱出と呼ばれる事態になっている。サンフランシスコではようやく観光客の姿が戻ってきたと佐伯敏が紹介。そうした中、一等地にあるデパートが閉店を迎えるという。先月27日大型デパートの旗艦店が閉店するなど、中心部で小売店の撤退が相次ぐ。アメリカのメディアがこうした状態を小売店の集団脱出と呼ぶ事態になっている。その理由について、専門家は中心部への人流の減少を指摘する。オフィスの空室率は全米で18.2%とこの30年で最も高い水準になっていて、サンフランシスコは31.6%と主要都市で最悪の水準。CBREのアナリスト、コリン・ヤスコウチさんは、在宅勤務を率先して進めてきたのがIT企業、出社する人が減少し小売店は営業を続けるのが厳しくなっていると指摘する。もう一つの理由が治安の悪化。80年以上続く雑貨店では、店内に沢山カメラを設置しているがそれでも1日に5人が商品を取っていったことがあるという。カリフォルニア州では盗んだものが約14万円相当以下の場合、軽犯罪の分類されることになっていて、犯罪を助長しているという批判も出ている。一方、カリフォルニア州では住宅の家賃が高いこともあり、ホームレスの増加が続いている。こうした事態に行政も動き始めている。サンフランシスコ市長は中心部の再生に向けて、公共スペースの活用、警備体制の強化などを進めていくとしている。