明後日20日に大統領選挙とEU加盟の是非を問う国民投票が行われる旧ソビエトのモルドバ。今はロシアと距離を置いてEU加盟の手続きを加速させている。現職のサンドゥ大統領はEU加盟を全面に掲げ、再選によって加盟をさらに近づけたいとしている。これに対し、親ロシア派の候補者たちは冷え込んでいるロシアとの関係改善を訴えている。世論調査ではサンドゥ氏が支持率36%とリードしている。しかしロシアが巻き返しを図ろうと大規模な選挙介入を行っている疑惑が出ている。SNSではサンドゥ政権がモルドバを戦火に巻き込もうとしていると不安を煽る動画が拡散された。モルドバ政府はこうした内容について事実関係を明確に否定し、偽情報にはロシアが関与しているとした上で「選挙戦でサンドゥ氏に不利になるよう世論を操作しようとしている」と非難している。政府はテレビなどでもロシアの主張に沿った事実に基づかない内容がないか監視を続けている。さらに今月初め、ロシアの影響下にある人物が親ロシア派候補への投票と国民投票でEU加盟に反対するよう有権者を買収していることが明らかになった。先月だけで総額1500万ドルがロシアの銀行を通じて支払われていたという。受け取っていたのは人口の約5%にあたる13万人に上るとされている。この事件に関連して、地元メディアは「親ロシア派の選挙運動の参加者に現金が配られている」という実態を報じた。モルドバ側の批判に対し、ロシア政府は関与を否定している。