ウクライナの芸術家たちが見たものや感じたものを思い思いに表現した作品の企画展が、ウクライナ各地で行なわれている。リビウでの企画展を企画した美術館のペレンスカさんは、戦時下のウクライナを知る上でもこうした作品は特別な役割を担うと話す。芸術家たちはどのような思いで制作を続けているのか、出展した1人のアリーニクさんは、ふるさとのルハンシク州の自然や植物をモチーフにした絵を描いている。ルハンシク州で親ロシア派との戦争が始まったのは2014年、それから10年にわたって避難生活を余儀なくされてきたアリーニクさんにとって、絵を描くことは故郷と自分をつなぐ大切な作業だと話す。侵攻から2年以上が経ち、制作に行き詰まりを覚える人もいる。トカチェンコさんは、家族や友人がいるマリウポリの状況を毎日のように記録してきた。しかし侵攻が長期化し、同じような絵を書き続けなければならない状況が続く中で、次第にその意味を見いだせなくなってきたと話す。今は一旦筆を置き自問自答しているという。画家としての無力さを感じながらも、どのような形であれ今後も制作は続けたいと考えている。ウクライナでは、こうした作品を後世に残そうという取り組みも始まっている。