静岡市清水区にある「旧カトリック清水教会」の解体を田中道子が取材。12~15世紀にヨーロッパで広がったゴシック様式。塔など尖った形状で高さを巧みに表現し、内部にはステンドグラス、天井を高くすることで光にあふれる。ドイツのケルン大聖堂やフランスのシャルトル大聖堂などが代表的。西洋の教会は「石造」だが、清水教会は「木造」。第二次世界大戦が始まる前の1935(昭和10)年に完成。当時、清水に木材の集積場ができて良質な材木が手軽に入ったことから木造になったという。礼拝堂の中は「畳」になっており、信徒たちは靴を脱いで建物の中に入った。天井は「リブ・ヴォールト」。ゴシック建築に用いられる様式。あばら骨を意味する「リブ」とアーチ型の天井を意味する「ヴォールト」が組み合わさることで美しい曲線を織りなす。清水教会の天井は木の板を繊細に折り曲げることで曲線を作っている。そこに漆喰を塗ることで石造の教会のような美しい天井を生み出した。建築から90年近く経過して老朽化したことから移築することになった。