民主党地盤への州兵の派遣に力を入れているトランプ大統領だが、もう1つ進めていること「ゲリマンダー」がある。ゲリマンダーとは、選挙区の区割りを自党に有利に変更することで、19世紀初頭、マサチューセッツ州のゲリー元知事が線引した選挙区が怪物サラマンダーに似ていたことから、ゲリマンダーと名付けられた。選挙結果に大きく関与することから、民主主義の観点からは“禁じ手”とみられている。共和党が目をつけたのが、共和党の地盤の中で最も人口の多いテキサス州。時事通信によると、区割り変更は通常、10年に1度の国勢調査に基づいて実態を正確に反映する形で行われるそう。テキサス州は2021年に区割り修正が行われたばかりだという。ところが先月、司法長官が「今の選挙区はゲリマンダーになっている」と是正を求め、これに共和党のアボット知事が呼応する形で区割りを進めたという。23日には州議会上院が法案を可決。この区割り変更はトランプ大統領の要望を受けたもので、トランプ大統領は先月15日、記者団に対して「シンプルな線の引き直しだ。我々は5議席を得る」と主張した。この変更で、共和党有利の選挙区が新たに5つ増えるという。こうしたトランプ政権の強引な手法に、民主党も黙っていない。動いたのは民主党の候補として大統領選への出馬が有力視されるカリフォルニア州のニューサム知事。カリフォルニア州は全米で最も人口が多く、民主党の地盤。14日、ニューサム知事は「ドナルド・トランプ、我々は反撃する」と発言した。カリフォルニア州でも民主党に有利となるような区分けを行うことを示唆した。その言葉通り21日、選挙の区割り変更案がカリフォルニア州議会の両院で可決された。これによって民主党が共和党から5議席を奪う可能性がある。トランプ大統領はなぜ今、禁じ手とされるゲリマンダーにうって出たのか。同志社大学大学院・三牧聖子教授は「秋ごろから関税政策がアメリカの消費者に影響を及ぼし始め、政権への反発は避けられない。今のうちにゲリマンダーという禁じ手に出て、中間選挙を優位にしておきたい狙いがあるのではないか」と話す。
