アメリカで「ゴジラ」は再編集されて公開されたが、日本のオリジナル版とは異なる箇所が散見される。ラストシーンでは原水爆を疑問視するセリフが削除されている。当時、米ソ間で核開発の競争が激化していて、核兵器の是非を問うようなセリフは使えなかったと考えられる。2014年、ハリウッドでオリジナルのゴジラ作品が制作。制作者たちは原爆投下の歴史と向き合おうとしたが、アメリカ政府は空母、戦闘機の撮影許可を与えるかわりに原爆への批判的内容の削除を要請していたという。被爆した父親の時計を見せる短いシーンを描くのでやっとだったという。2023年、敗戦直後の日本を舞台にした「ゴジラ-1.0」が公開。アカデミー賞で視覚効果賞に輝き、アメリカでは日本の実写映画として興行収入1位を記録した。山崎貴監督にとって、アメリカでのヒットは予想外で、公開される際に「大丈夫ですか?」と思っていた。だが、「我々は今、本当に戦争している国なんだ」と言われ、山崎監督は「僕らよりも感情移入しやすいのか」と感じたという。