京都大学の研究チームが人工知能を活用して仏教的観点から様々な悩みに答えるAIを開発。来月からブータンで導入される最新技術が生まれた背景を取材。ユーザーの質問に対し仏教の開祖仏陀の言葉で教えを説くAI「ブッダボットプラス」(通称・AIブッダ)と呼ばれる対話型のAIで、京都大学の研究チームが2019年から開発を進めている。AIブッダはチャットGPTの技術を応用。質問に対して仏教の経典の中から実在する適切な言葉を抽出し、その解釈を生成。厳しい修行の末に悟りを開いたブッダ。そのため、AIブッダから返ってくる教えは厳しいものも。開発チームを率いる仏教学が専門の京都大学・熊谷誠慈教授は、400年の歴史がある広島・教順寺で18代目住職も務めている。熊谷教授は「プロジェクトの一番の目的は、すそ野を広げること」と語った。熊谷教授によると日本人はいま寺に行く機会が減っており、2040年には寺の4割が消滅するといわれている。仏教離れを心配する若い僧侶たちからの要望に応えるため、寺に行かなくても手軽に仏教に触れられるAIブッダの開発に乗り出した。京都大学の研究チームが開発したAI「ブッダボットプラス」(通称・AIブッダ)は、まだ日本では公開されていないが導入を決めた国がある。チベット仏教を国教にしているブータン。ブータンの仏教の中心になっている政府管轄の中央僧院・チョテンドルジ事務次官に話を聞いた。ドルジ事務次官は「ブータンの人々の生活は、仏教の減速を通じ成り立っている。因果の法則、カルマを大切にしている。国民総幸福量という哲学に導かれている。これも仏教の原則に基づいている」と語った。ブータンでは義務教育で仏教を学び、寺に通って教えを受けるというが、インターネットの普及により若者が寺に通わずインターネットに依存するようになったという。ドルジ事務次官は「技術とAI(人工知能)の発展に伴い若い僧侶は、その技術に興味を持つようになった。AIブッダは、仏教の原則に基づいたもの。ブータンは仏教の真の教えを広めることに意識を向ける国でありたいと考えている」と述べた。