餅料理の思い出について全国の県人会にアンケートを実施。「さんきらばっぽ」は愛媛県・伊方町周辺の郷土料理。伊方町周辺の山野や丘陵に自生している多年生植物「サルトリイバラ(さんきら)」の葉を使う。「ばっぽ」は餅やまんじゅうを意味する方言。井伊吉博さん(65)にとって亡き母との思い出の味。今も五女・山本かほるさん(67)が暮らす実家を訪れた。近くに暮らす四女・森妃登美さん(71)もいっしょに取材に応じ、母との思い出を語ってくれた。吉博さんは母・サダ子さんが「さんきらばっぽ」を作る様子をビデオカメラで撮影していたが、レシピなどは残っていないという。地元の高校で郷土料理教室を開催している中村まゆみさん(76)が「さんきらばっぽ」を作ってくれた。サルトリイバラの葉は以前はその辺に豊富にあったが、最近では見かけなくなったという。中村さんは高校の料理教室で使うため、山奥で収穫して冷凍保存していた。小麦粉・ふくらし粉に水を入れ、ダマにならないように混ぜる。小さく切った生地につぶあんを入れて丸め、サルトリイバラの上にのせる。強火で15分ほど蒸すと出来上がり。吉博さんたちは30年以上ぶりに思い出の味を堪能。家族の姿を思い起こす温かい想ひメシだった。