南太平洋の島国ツバルは9つの島で構成されている。ツバルは地球温暖化による海面上昇で国土が将来水没する恐れがあるとされ、沈みゆく国とも呼ばれる。この危機的状況を世界に訴えるため、当時の外相が海に浸かりながら演説を行う動画も話題となった。ツバル政府はオーストラリアなどの支援を受け、護岸整備や土地のかさ上げを進めているが、NASA(アメリカ航空宇宙局)の調査によるとツバルは2050年までに国土の大半が満潮時に水没すると推定されている。そんな中、オーストラリアへの移住計画が動き出している。ツバルとオーストラリアは2023年に抽選で年間最大280人に永住ビザを発給する条約を締結。先月から募集が始まり、人口の約半数にあたる5157人が応募。約1万人のツバル国民全員が移住を選択すれば、約35年後に住人がいなくなるという国家存亡の危機となっている。写真家としてツバルの現状を伝え続け、環境親善大使を務める遠藤秀一氏は今回の移住計画について「気候変動で自給自足のような暮らしをし続けるのは厳しい。先進国でお金を稼いで楽に生活したいというのが一番のモチベーションになっている」と話した。
