パキスタンは度々、大規模な洪水に見舞われてきた。3年前の洪水では1700人以上が亡くなり、国土の3分の1が水没したとも言われた。被災した南部・シンド州では新たな素材・竹による家づくりが始まっている。目的は洪水で倒壊した後の人々の被害を最小限に抑えることにある。パキスタンではレンガの下敷きで亡くなる人も多く、雨季の死者の30%近くを占めている。軽い素材の竹を骨組みに使う住宅では壁も土を塗って造るため、倒壊した際の危険が少なく、再建費用も大幅に抑えられる。竹を使った住宅は地元建築家がNGOと共同で普及に取り組んでいる。建物の強度はレンガと遜色なく、州内で約1万棟が建設された。開発した建築家は建築方法を無料で公開していて、パキスタン全土への普及を目指している。建築家のヤスミン・ラリさんは「竹の家は人々が自ら安全を確保できる。安全な暮らし方を教えたい」と話した。
