6年前に脳梗塞を発症した金子尚子さんは左側にマヒが残っている。以前は小学校の特別支援教室の教員補助。大好きな仕事だったが続けていくことを諦めた。5か月間リハビリのため入院。退院して家に戻った金子さんは途方に暮れる。買い物をして献立を決めて食べさせるという一連の流れがどれひとつできなくなってしまった。そんな金子さんを救ったのがツナの缶詰。たまたま見た動画で片手で開ける方法を知った。これを機に他にも自分にできることを探し始めた。片手で洗うことが難しかったジャガイモは流しに吸盤を置いてブラシを固定。ジャガイモ側を動かすことで洗えるように。病気後、記憶が抜け落ちやすくなっていたため、以前は見なくても作れたレシピを付箋に書いて貼っている。できることは増えたが苦手なことも。例えばパスタの湯切り。以前はできないことが悔しかったが、今は家族にお願いできるようになった。今の自分と向き合うことが社会復帰の一歩にもなった。発症から3年後、医療関係の会社に再就職。事務の仕事をするようになった。仕事中に手放せないのはノート。仕事の指示は一言一句漏らさないようにメモを取る。記憶が苦手であることを周りの人に伝え、メモを取る間は待ってもらうようにした。上司は「「こういうやり方だったらできます」と正直に言われた方がお互いやりやすい」と話した。金子さんは「自分の苦手なことを分かって色んな工夫で対処していけば新しい自分として生活も仕事もできる」と話した。