イギリスのロイヤルファミリーの移動に使われる王室専用列車が経費削減を理由に2027年までに引退することになった。使用頻度が激減し、去年3月からの1年間での利用はわずか2回。維持に莫大な費用がかかるということで、王室は列車の引退を決断。150年以上の歴史に幕を閉じることとなった。王室専用車両は1869年、ビクトリア女王が初めて乗車。女王はイギリス国内を訪問することが自分の役割と強く感じていた。その後もロイヤル・トレインは君主を多くの場所へ運んだ。第1次世界大戦中、ジョージ5世は宿泊施設手配の人手を惜しみ、列車内で寝泊まりしていた。第2次世界大戦中にはジョージ6世がドイツ軍の空襲による被災地を慰問するため装甲車両に改修。当時、ロイヤルファミリーの移動に関する情報は機密扱いだった。王室専用列車の存在が知られたのは戦後のこと。現在の車両はエリザベス女王在位25周年記念式典に合わせ誕生し、1980年代にはロケット弾などに耐える防弾仕様となった。王室の伝統と格式の一つである“お召列車”が引退する背景にあるのがソブリン・グラント。