12月3日の夜、ユンソンニョル大統領は一切の政治活動を禁じる非常戒厳を突然発表した。国会の建物には軍の部隊が展開。この事態に、最大野党共に民主党のイジェミョン代表はみずからも塀を乗り越えて、国会に駆けつけた。また周辺には多くの市民が集結。兵士らともみ合いになり混乱が続いた。事態が緊迫する中、韓国の国会は4日の未明に本会議を開催し非常戒厳を解除するよう要求する決議案を、全会一致で可決した。そして宣言からおよそ6時間後解除された。非常戒厳は軍事政権下ではたびたび宣言されていたが、1987年に民主化されて以降は、今回が初めて。国会や集会など、一切の政治活動が禁じられるほか、すべてのメディアが戒厳司令部の統制を受けるとされていて、違反者を令状なしで逮捕や拘禁することができる。ユン大統領を支える与党は4月の総選挙で大敗していて、国会では予算案が通せないなど、厳しい政権運営を迫られていた。また、キムゴニ夫人を巡っても、高級ブランドのバッグを受け取った収賄の疑いなど、さまざまな疑惑が取り沙汰されていて、ユン大統領の支持率は落ち込んでいた。