東京都内を中心に9つの地下鉄を運営する東京メトロは前身の営団地下鉄から株式会社となって発足し20年のきょう、東京証券取引所のプライム市場に株式を上場した。日中は売り出し価格よりも高い水準で取り引きされ時価総額は1兆円を超えて2018年以来の大型上場となった。国と東京都が保有する株式のうち合わせて50%が売り出され午前10時過ぎ、売り出し価格を430円上回る1株1630円で最初の価格、初値がついた。その後も東京メトロの株式は売り出し価格よりも高い水準で取り引きされ、きょうの終値は1739円となって時価総額は1兆円を超えた。2018年に上場したソフトバンク以来の大型上場となる。上場によって売り出される株式のうち国の保有分の売却収入は東日本大震災の復興財源に充てられる。一方、東京都の保有分の売却収入は1620億円余りと見込まれているが具体的な使いみちについてはまだ決まっていないという。都は今年度内に方針を決めたい考え。都内を中心に9つの地下鉄を運営し営業する路線の長さは195キロメートル。昨年度の輸送人員は23億人余りに上る。安定した収益性の一方で会社の上場後の成長については慎重な見方も出ている。東京メトロは売り上げのおよそ9割を鉄道事業が占め、ほかの鉄道各社と比べて事業の多角化は進んでいない。人口減少を背景に将来の鉄道の利用者の拡大が見込めない中、投資家に対しいかに成長戦略を示せるかが試されることになる。