ある日、サイアムは売られてしまった。スイスの経営者がサイアムの写真を見てとても気に入りかうこといした。1956年、サイアムは船に積み込まれ、スイス最大のクニ―サーカス団に連れて来られた。面倒見のいい調教師・べメールと出会い元気を取り戻すと、どんどん芸を重ボ得ていった。木場の上にバレリーナを乗せ会場を回る芸はとくに評判だったという。8年のあいだ花形スターとして活躍。そんな中、サイアムが暴れ、団員を傷つけてしまった。フランス映画の監督がサイアムのことを聞きつけ、映画に出演させることに。サイアムは暴れることなく見事な演技を見せた。サイアムが少年を牙に乗せて歩くシーンの撮影中、突然立ち止まって鳴きはじめた。原因を調べると足元の床に小さなヒビが入っていた。撮影を続けていれば少年たちがケガをしたかもしれないという。映画の撮影は無事終了。そしてパリの動物園に引き取られることになった。動物園にはメスのゾウしかいなかったため、上機嫌になりさらに、人を喜ばすのが大好きだったので、水浴びをするたびに、観客まで水をとばし、盛り上げていた。サイアムはその後15頭の子どもの父親になった。