沖縄県南大東島で独自の進化を遂げた生き物たちの営みを紹介。那覇から東におよそ360km、サンゴ礁が隆起してできた島で、さとうきび畑が広がる。4月朝、海からの湿った空気が島の森を包む。朝露に濡れた森で活動を始めたのは、この島で独自に進化した固有亜種の鳥たち。これまで1度も大陸と接したことがない南大東島では、島固有の生き物は20種以上にものぼる。この時期、南大東島では早くも、セミの鳴き声が聞こえてくる。熱帯や亜熱帯でよく見られるアダンの木の根本にいたのはダイトウヒメハルゼミ。体長は3cmほど。このセミもまた島固有の生き物だ。鳴くのはオスだけで、メスを懸命に誘う。春の沖縄県南大東島では、命をつなぐ大合唱が響く。