野生のトナカイが数多く見られるのがアラスカ。このアラスカをたった1人で旅し写真を取り続けたのが写真家の星野道夫さん。1996年、43歳で亡くなるまで、多くの作品を遺した。星野道夫が最も心を惹かれたのがカリブーと呼ばれる野生のトナカイの大移動だった。トナカイは片道1200kmもの季節移動をする生き物。先住民でさえその旅路を見られるものはほとんどいない。5月下旬、スタッフは星野さんの足跡をたよりに北極圏へ向かった。春トナカイは北極海近くに到着し出産する。ブルックス山脈と出産地の間でトナカイを待つことにした。丘の上でトナカイの群れを発見した。トナカイの群れはブルックス山脈の最も険しい方角から現れた。雪深い峰々を本当に越えてきたのか。上空から確かめると、なにかの踏み跡を見つけた。そのさきにはトナカイが歩いていた。ある時、群れが塊になって走り出していた。後方には狼がいた。しかし殆どがオスだったため狼は手を出せなかった。春、オスとメスは別々の群れで移動している。メスの出産地である沿岸のツンドラ地帯で、赤ちゃんとメスの群れをみつけた。メスは大抵金田国境の低い山に向かって行くという。メスたちはオスが来る前に独占的に栄養を蓄えて出産に備えている。