山道や砂利道など過酷な環境を数十km以上走るトレイルランニングの日本の競技人口は20万人以上と言われている。この競技の第一人者の高村貴子選手は国内主要大会を5連覇し、先月は日本代表として世界選手権に出場した。高村さんはプロのランナーでありながら医師でもある。この競技を初めたのは医学部に通っていた12年前。競技を始めて間もなくライバルたちの体型を見て「痩せていなくては勝てない」という思いにとらわれるようになった。食事制限を始め身長157cmだが体重は43kgまで落ちた。それとともに国内外のレースで次々と勝利を重ねていった。一方で月経がなくなり貧血やケガが増え、摂食障害になっていた。高村貴子さんは、分かってはいて医学的にはよくないけど走れていたらいい、知識はあるけど自分に落とし込めないという状態が続いたと話した。今高村さんはトレーニングを見直している。ケガで走れない時期が長くなり限界を感じ初めた。10年近く一人で協議を続けてきたが敢えて異なる分野の人に指導を受けることにした。岩崎裕介さんはラグビー女子日本代表などをトレーニングした経験を持つ。岩崎さんはまず栄養士を紹介し食事を管理する態勢を整えた。以前は長い時には1日4時間の練習をする時があったが、この日行ったのは短いダッシュをインターバルを挟んで繰り返すトレーニングで、短い時間でも効果的に心肺機能を高める。この日の練習は1時間半ほどで、意識的に休息を取る日も作っている。現在体重は50kgを超える時もあるがパフォーマンスは落ちていない。高村さんは、健康が第一でその次にパフォーマンスと今までと優先順位が逆転したと語った。