ドイツではあす総選挙が行われる。これまで寛容だった移民難民の受け入れが厳しくなる可能性が高まっていて難民らは複雑な思いを抱えている。ドイツの首都ベルリンに住む、シリア難民の男性は、移民問題が争点の1つとなる今回の選挙に不安を募らせている。携帯で検索したのは、移民排斥を掲げる極右政党AfDの代表。男性は「(彼女は)私たちのことが嫌いで、道で会ったら変な目で見る人にそっくり」と語った。男性は11年前にシリアを脱出。ドイツで難民として認められドイツ国籍を取得。男性は「ドイツ語を学び、国籍も取り、妻は職業教育も受けた。全てを捨ててシリアに戻りたくはない」と語った。極右政党AfDは、難民申請を厳しくし、ドイツ国籍は純粋なドイツ人だけにと訴える。AfD・アリスワイデル共同代表は「私たちが安全に暮らすためには、移民らを送り返す必要がある」と述べた。とりわけ「シリア出身者は送還する」などと過激な主張を展開している。極右政党AfDが一般の家庭に投かんしたチラシは、航空券のような形をしていて、乗客名は「不法移民」、目的地は「出身国」と書かれている。人種差別ともとれる行為はナチス的思想だとしてドイツ国内で批判はあるものの、世論調査では2位につけ明日の選挙では躍進するとみられている。一方、世論調査で支持率トップに立つ最大野党の保守政党CDU・フリードリヒメルツ党首も「不法移民の流入と難民の不法滞在に対して、ようやく効果的な決断を下す時が来た」と述べ、難民の受け入れ制限を政府に求める決議案をAfDと協力して可決させた。ドイツではタブーとされた極右との協力に、劣勢に追い込まれている与党・ショルツ首相は、テレビ討論会で「民主主義の終わりだ」と痛烈に批判した。今やドイツでは移民をルーツに持つ人が人口の3割を占めるなど社会に溶け込み、経済も支えている。シリア難民の男性は、「難民は悪という偏った主張は間違いだ」と訴える。ドイツの移民政策の大きな転換点になるのか選挙結果が注目される。
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