北極圏のグリーンランドを米国・トランプ次期大統領が買い取りたいと発言して以来、国際社会に大きな波紋が広がっている。鴨志田郷解説委員が「日本の5倍以上の面積がありその8割以上が雪と氷で覆われたグリーンランドは、10世紀に北欧のバイキングが大西洋を渡って入植した歴史があり、今もデンマークの自治領になっている。近年では地球温暖化によって氷河や氷山が急速に溶けていることが話題になり、私も国連の視察に同行したことがあるが、最近では豊富な地下資源や北極圏の安全保障の要所としても注目されている。トランプ氏は“自由世界を守るためにはアメリカがグリーンランドを所有すべきで、デンマークが交渉に応じなければ高い関税を課すか、軍事力の行使もありえる”という考えを示し、先週には長男のジュニア氏を観光客として現地に送り込んだ。トランプ氏は近年、北京圏でロシアが軍事力を増強したり、中国がレアアースの採掘を目指したりしている現状を強く意識しているよう。これに対してデンマークの首相は“グリーンランドは売り物ではない”と反発し、独自にグリーンランドの防衛を強化する方針も打ち出した。またフランスやドイツからも“力で領土の割上を迫るのはロシアによるウクライナ侵攻と同じだ”といった批判の声も上がっている。グリーンランドにはイヌイット系の先住民を中心におよそ6万人が暮らしているが、これまで開発や発展から取り残されてきたのも事実。16年前にデンマークから住民投票によって独立を主張する権利を獲得している」とスタジオで述べた。