トランプ政権が世界の安全保障を翻弄している。明らかな国際法違反が繰り返されているのに国連は機能せず、誰も止めることができない、アメリカは国際秩序を守る側から乱す側になってしまっている。同盟国に対しても厳しい要求を突き詰けている。シンガポールで開かれたアジア安全保障会議。参加したヘグセス国防長官は世界は信じられないくらい幸運だ、トランプ大統領の指導力のもと力による平和の実現に積極的に取り組むと発言した。ヘグセス長官の発言は、力による平和路線、中国への強い対抗意識、インド太平洋に積極的に関与すること、アジアの同盟国などに国防費の大幅増額を求めることなどを示した。同盟国はアメリカは本当に守ってくれるのか?という疑念が生じている。台湾についてトランプ大統領が習近平主席と合意を結ぶ可能性があるとの指摘もある。アメリカからライバル視されている中国の国防相が今回は参加しなかった。国の国防相欠席の意図は、トランプ政権内のアジア担当の体制が整っておらず、直接話しても得るものが少ないという判断。放っておいてもトランプ政権が自由主義陣営を弱体化させてくれると考え、批難を浴びる会議に出ても得にはならないと判断したとみられる。フランスのマクロン大統領は会議で、トランプ政権の一方的な政策が同盟を危機におとしいれている、欧州とアジアで国際秩序を守る連合体を作ることを呼びかけた。マクロン大統領の発言はトランプ現象は一過性のものではなく構造的問題と欧州諸国が認識していることの現れと考えられる。