中南米を舞台に、中国とアメリカのさや当てが激しくなっている。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」が拡大しており、参加国では中国からの融資や投資を受けインフラ事業の強化などを行っている。こうした動きに警戒感を強めているのがアメリカで、中南米は歴史的にアメリカの影響を強く受け「アメリカでの裏庭」とも呼ばれてきた。アメリカのルビオ国務長官は「融資を通じて搾取するのが一帯一路。中国は債務を盾に圧力をかける」などと延べ、警戒感を露わにしている。実際に中国への多額の債務を返済できない「債務の罠」に陥った国もある。中国かアメリカか、2つの大国とどう向き合っていくかは中南米の国々にとって死活的に重要な問題となっている。一方でエクアドルは、中国ともアメリカとも良好な関係を築いている。エクアドルのノボア大統領は、今年3月にはトランプ大統領とフロリダ州にあるトランプ氏の自宅で面会。一方先月には北京で習近平国家主席とも会談している。そのエクアドルから来日中のソメルフェルド外務・移民相は、航空会社CEOを務めるなど異色の経歴を持つ。中国とアメリカとの距離をどう取るかについて、ソメルフェルド外務・移民相は「主要な貿易相手国と良好な関係を維持する必要があり、その相手国はまずアメリカ、次に中国。エクアドルは中国とアメリカから支援を受けていて、国の発展のためそのバランスを適切に保つ必要がある」などと述べた。両国との間でバランスを取ることは、簡単なことではない。パナマはどちらの側につくのか、踏み絵を踏まされたと言っても良い。アメリカはパナマ運河周辺の港を香港の企業の子会社が運営していることに懸念を表明し、今年4月に現地を訪れたアメリカのヘグセス国防長官は「パナマ運河を中国の影響下から取り戻す」と述べた。パナマはアメリカに配慮する形で、「一帯一路」から離脱を表明した。エクアドルにもアメリカ側からの働きかけはあるのか、ソメルフェルド外務・移民相は「それはない。アメリカとはオープンでとても良い関係だ」などと述べた。エクアドルでは脆弱なインフラから電力不足が深刻で停電が10時間以上続くケースもあり、そのために「協力を得られる国とはすべてうまく付き合っていかなければならない」とした。ソメルフェルド外務・移民相は「私たちは努力と探求を重ねながら、世界の平和と安全の実現に向けて取り組まなければならない」などと述べた。
