2025年7月25日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025“12日間戦争”後のイランは今

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 田中浩一郎 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像とともにキャスターらが挨拶。

ニュースラインナップ

「停戦1か月イランはいま」などのニュースラインナップを伝えた。

(ニュース)
“各国は気候変動対策をとる義務”

異常気象の背景に地球規模の気候変動があるとも指摘されている。ICJは国際法のもとで各国が温室効果ガスの排出削減など気候変動対策をとる義務を負う勧告的な意見を出した。基本的人権を守るためにもすべての国が環境を保護するために協力する義務があるなどとしている。国際司法裁判所・岩澤所長は法が進行中の気候危機に対処するための社会的、政治的行動を啓発し促すことを期待すると述べた。今回の勧告的意見について、ドイツのZDFは、きっかけは南太平洋の島国・バヌアツでの専門家の意見書と報じる。バヌアツの政府代表は、節目だ。世界が気候正義に向かう時だと強調。

勧告的意見の意義は?各国がより踏み込んだ対策をとり削減に向けた取り組みが後押しされる可能性がある。今回の大きなポイントの一つは温暖化対策の国際的な枠組み・パリ協定の締約国だけではなくて全ての国に措置をとる義務があるとした。法的拘束力はもたない。各国の対策が十分ではないと考える住民がICJの見解を根拠に訴訟を起こす可能性もある。各国の対応が注目されるなどと話した。皆さんの声をQRコードで募集中。

“日本が市場を開放する”効果を強調

トランプ大統領は「日本は自動車やSUV、トラック、農産物やコメなどあらゆるもので史上初めてアメリカに市場を開放する」とSNSに投稿。大きな効果を上げたと強調。ホワイトハウスが詳細を発表。日本はアメリカの基幹産業の再建と拡大のため5500億ドルの投資を行うとしている。具体的にはエネルギーインフラと生産、半導体の製造・研究開発などの分野。この投資から得られる利益のうちアメリカが90%を確保するとしている。

アメリカの生産者のため日本市場へのアクセスを拡大したとしている。農業、食品の分野ではアメリカ産のコメを75%増やす。トウモロコシ、大豆、バイオエタノールなどを80億ドル購入するとしている。エネルギー分野では日本への輸出大幅拡大、アラスカ産LNG購入契約を検討。製造業、航空宇宙の分野ではボーイング社航空機を100機購入。防衛装備品を年間数十億ドル分追加購入。自動車の分野ではアメリカの自動車基準が日本で初めて承認される。トランプ大統領は関税率の引き下げには各国の市場開放が不可欠だとの認識を示す。日本との合意を弾みに各国などとの交渉を加速したい狙い。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
停戦から1か月 イラン市民は今

イスラエルの先制攻撃で始まり、そこにアメリカも加わった12日間戦争と呼ばれる軍事衝突。イランでは1000人以上が死亡。イラン国内では市民への監視が強まり、外国メディアに対しても厳しい取材規制がかかる。現地の市民の実態に迫る。

イラン・テヘランでは日常を取り戻しているかのようにみえる。イラン市民は、イスラエルから再び攻撃されるのではないかと不安だという。次の攻撃に備え、パスポートや薬など避難用の準備をしていた。経済的な打撃を受けた人も。ツアー会社を運営する女性は日本への観光を主に取り扱ってきたが、軍事衝突以降、日本への観光ビザが下りなくなっている。69人がキャンセル、スタッフの雇用継続も難しい状況。政治的には中立の立場である女性は、外国の武力による国の体制転換はあってはならないこと。誰も望んでいないと述べた。男性は国家への誇りや愛国心が高まっていると述べた。会社員の女性は複雑な心境を明かす。女性はどこまで代償を払い続ければ平穏な生活を送れるようになるのか。国際社会が不正義や圧政に対して沈黙せず行動を起こしてほしいと願っていると話した。

慶應義塾大学・田中浩一郎教授に聞く。イラン市民の感情の変化について、ナショナリズムが強く現れた。革命防衛隊の元司令官・ラシド・ジャラリ・ジャファリ氏は完全に法律に則って行動する。今後も平和的な核エネルギーを保持し発展させていくだろうと述べた。この発言について、田中教授は、イランは平和利用が目的。正当性、権利を主張。ウラン濃縮を完全に放棄する考えはない。アメリカはイランの核兵器の保有、ウラン濃縮活動を認めず。完全に水と油であり中間点を見いだせないと指摘。視聴者の声。「イランは核武装以外の選択肢はないのでは」。田中教授は、今後のイランの立ち振舞を考えると核兵器を持つようになるのかならないのか政策的に決める分岐点に立っていると話した。

WOW!The World
木を切り倒した2人に実刑判決

イギリスで最も有名な木の一つとされ、映画にも登場したというシカモア・ギャップの木。この木を切り倒した男2人に実刑判決が下った。裁判で被告の1人は「酔っていて記憶がない」、もう1人は「誘われただけだ」などと述べ、動機を語らなかった。判事は「犯行動機はただの度胸自慢だった」などと述べ、木を違法に伐採したとして懲役4年3か月が言い渡された。

“メタル界の帝王”追悼続く

22日に亡くなったメタル界の帝王、オジー・オズボーン。故郷バーミンガムでは多くのファンが追悼し、同世代のミュージシャンであるKISSのジーン・シモンズは「本当にユニークで愛すべき人」などとコメントした。よく知る人からは「地に足のついた普通の人だった」とも言われるオズボーンは、76歳だった。

クマとコヨーテは仲良し!?

アメリカ・カリフォルニア州の保安官事務所が投稿した驚きの映像を紹介。クマとコヨーテが優しく鼻を触れ合わせ、仲良くしている。2頭は一緒に散歩をしていたとか。微笑ましいこの光景は、厳しい野生の世界であっても違いを乗り越え仲良くできることを教えてくれる。

(ニュース)
“汚職捜査機関の独立性 制限するな”

ウクライナのゼレンスキー大統領に逆風が吹いた。ウクライナ各地では22日に続き、23日も市民の抗議デモが相次いだ。政府高官の汚職を捜査する2つの機関を、大統領が任命する検事総長の指揮下に置くことを含む法案が22日に成立。新たな法律で、汚職を捜査する機関の独立性が失われるとの声が上がっている。政府による捜査への介入が懸念されている機関の一つが、国家汚職対策局。「マイダン革命」でロシア寄りの政権が崩壊した後の2015年に発足した。対策局はゼレンスキー大統領に近いとされる政権幹部も捜査対象とするなどして、政権側と対じしてきた。トップのクリボノス長官はNHKのインタビューで機関の独立性を強調し、「捜査対象に例外はない」と話していた。神戸学院大学の岡部芳彦教授は、「ウクライナが欧米の支援を継続して受けるために、独立した捜査機関による汚職撲滅は不可欠だ」と指摘する。法律の成立をめぐりヨーロッパ各国は懸念を表明し、ドイツの外相は「新たな法律はウクライナのEU加盟の道を妨げる」とSNSに投稿した。批判を受けてゼレンスキー大統領は「最高議会に新たな法案を提案する。(次の法案は)汚職に対する機関の独立を担保する」と述べたが、具体的な内容は明らかにせず抗議が収まるかどうかは不透明。

辻’s Angle「2つの大国と向き合う中南米」

中南米を舞台に、中国とアメリカのさや当てが激しくなっている。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」が拡大しており、参加国では中国からの融資や投資を受けインフラ事業の強化などを行っている。こうした動きに警戒感を強めているのがアメリカで、中南米は歴史的にアメリカの影響を強く受け「アメリカでの裏庭」とも呼ばれてきた。アメリカのルビオ国務長官は「融資を通じて搾取するのが一帯一路。中国は債務を盾に圧力をかける」などと延べ、警戒感を露わにしている。実際に中国への多額の債務を返済できない「債務の罠」に陥った国もある。中国かアメリカか、2つの大国とどう向き合っていくかは中南米の国々にとって死活的に重要な問題となっている。一方でエクアドルは、中国ともアメリカとも良好な関係を築いている。エクアドルのノボア大統領は、今年3月にはトランプ大統領とフロリダ州にあるトランプ氏の自宅で面会。一方先月には北京で習近平国家主席とも会談している。そのエクアドルから来日中のソメルフェルド外務・移民相は、航空会社CEOを務めるなど異色の経歴を持つ。中国とアメリカとの距離をどう取るかについて、ソメルフェルド外務・移民相は「主要な貿易相手国と良好な関係を維持する必要があり、その相手国はまずアメリカ、次に中国。エクアドルは中国とアメリカから支援を受けていて、国の発展のためそのバランスを適切に保つ必要がある」などと述べた。両国との間でバランスを取ることは、簡単なことではない。パナマはどちらの側につくのか、踏み絵を踏まされたと言っても良い。アメリカはパナマ運河周辺の港を香港の企業の子会社が運営していることに懸念を表明し、今年4月に現地を訪れたアメリカのヘグセス国防長官は「パナマ運河を中国の影響下から取り戻す」と述べた。パナマはアメリカに配慮する形で、「一帯一路」から離脱を表明した。エクアドルにもアメリカ側からの働きかけはあるのか、ソメルフェルド外務・移民相は「それはない。アメリカとはオープンでとても良い関係だ」などと述べた。エクアドルでは脆弱なインフラから電力不足が深刻で停電が10時間以上続くケースもあり、そのために「協力を得られる国とはすべてうまく付き合っていかなければならない」とした。ソメルフェルド外務・移民相は「私たちは努力と探求を重ねながら、世界の平和と安全の実現に向けて取り組まなければならない」などと述べた。

祖先の足跡たどる“ルーツ探し”

日露戦争の前後、兵役を逃れたいなどの理由で多くの人が日本から友好国だったメキシコに渡り、現在その子孫など約8万人の日系人が暮らしているとされている。現地の日系人の中で、いま自らのルーツ探しに取り組む人たちが増えている。祖先はどんな日本人だったのか、その足跡をたどろうとする人たちの思いを取材した。

日系メキシコ人たちの“ルーツ探し”

先月メキシコで始まったオンラインの公開講座。日系人たちがかつてメキシコに渡った祖先たちの足跡を辿る方法を学ぶ。日系4世や5世の若者ら約20人が参加。その多くが日本の名字を持っている。講座を開いたのは平井伸治さん。メキシコで日本人移民の研究をしている。祖先を探す手がかりは移民を斡旋した会社の乗船記録。そしてメキシコ各地に渡った日本人が残した名簿。平井さんはデータベース化を進め、受講生がアルファベットで検索できるようにした。6年前に講座を受講した日系4世のナロユキ・コアシチャさん。曽祖父の小橋川栄光さん。1907年、メキシコに渡った。コアシチャさんが知りたいと思っていたのは自らの名字について。栄光さんは、生前名字の読み方をなぜか小橋川からコアシチャに変えていた。2019年、平井教授のプロジェクトで曽祖父の故郷、沖縄を訪問したコアシチャさん。曽祖父が暮らしていた地域で小橋川という名字の祖父を持つ人と出会った。そして、沖縄ではかつて小橋川をクワァシチャと発音していたことを教えてもらったという。

キーワード
モンテレイ(メキシコ)外交史料館外務省小橋川栄光沖縄県

これまで平井教授の講座に参加してきた日系人は200人以上。そのうち、10人が1世の故郷への訪問や日本の親族との面会を実現している。いま、日本でルーツ探しをしている人もいる。日系4世のイルビン・コバヤシさん。去年来日し、語学学校で日本語を学びながら祖先の足跡を辿ろうとしている。コバヤシさんの曽祖父・小林良一さん。120年前の乗船名簿を調べたところ良一さんの名前を発見。現在の愛知県一宮市に住んでいたことを突き止めた。曽祖父がどんな人物だったのか確かめたいとコバヤシさんは今月一宮市博物館を尋ねた。保管されていたのは良一さんが村に提出した海外への渡航願い。職業は農業。メキシコで2年間鉄道工事に従事すると記されている。良一さんとその父粂七さんのサインも記されていた。かつて良一さんが住んでいた場所の近くの神社に手がかりが残っていないか訪ねることに。大正時代の塀に刻まれていたのは良一さんの父・粂七さんの名前。コバヤシさんは今後、日本にいる親族を見つけて小林家のお墓参りすることを目標にしている。

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(エンディング)
あすは

あすはトランプ政権を支えるテックライトと呼ばれるシリコンバレー出身の起業家や投資家たちについて。民主主義を否定する思想も出ているというテックライトの人々の動きを取材。

キーワード
テックライト
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