2025年7月17日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 若者たちが守る ウミガメがいる故郷

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像と挨拶。

ニュースラインナップ

軍と民主派勢力との間で激しい戦闘が続くミャンマー。軍が否定している学校への空爆についてNHKは国際的な調査団体と共同調査を立ち上げ真相に迫った。

(ニュース)
大手製薬会社の社員 日本人男性に判決 懲役3年6か月

2014年に反スパイ法を施行し日本人17人を拘束してきた中国。このうちおととしから拘束されているアステラス製薬の60代の男性社員に中国の裁判所はきょう懲役3年6か月の判決を言い渡した。中国に長年駐在していた男性は2023年3月、スパイ行為に関与したとして国家安全当局に拘束され起訴された。きょうの裁判は日本のメディアは傍聴できなかったが、北京の日本大使館員は認められ、中国駐在・金杉憲治大使が「このような有罪判決が出されたことは極めて遺憾。日中関係をさらに安定的に進めていく上で国民感情の改善が一番重要で、法人拘束事案にまつわる司法プロセスの不透明な運用が、日本人が中国に渡航する最大の障害の1つになっている」などと述べた。金杉大使は男性と約30分間面会。男性は「上訴するか弁護士と相談して決めたい」と話していたという。日本政府は判決は極めて遺憾として、引き続き中国側に男性の早期釈放を求めていくとしている。一方、中国外務省・林剣報道官は「中国は一環して両国の経済貿易強力を支持し日本企業に良好な環境を提供している。中国にいる外国人は法律を守り法律に基づいて事業を行えば心配や不安はない」と述べた。

中国「反スパイ法」とは

「反スパイ法」は2014年に施行され、おととし改正法が施行された。改正法では「国家の安全に危害を及ぼす活動」「スパイ組織への参加」「国家の秘密・情報、国会の安全・利益に関わる文書・データ・資料・物品の窃取・提供」などがスパイ行為にあたるとされる。「その他のスパイ活動」は具体的な内容は示されておらず、日本の外務省は”不透明かつ予見不可能な形で解釈・運用される可能性もある”として注意を呼びかけている。中国はこれまで日本人17人を拘束。このうちの男性1人にきょう判決が言い渡された。11人は中国の裁判で実刑判決が確定し、4人が今も服役中で6人が刑期を終え帰国、1人は服役中に病死した。ほか5人は起訴前に拘束を解かれ帰国した。拘束事案は中国の日本企業にも大きな不安を与えている。中国側の解釈次第で恣意的な拘束につながる懸念も払拭できない。今回の判決は政治的にも経済的にも両国の関係を傷つけるリスクをはらんでいる。

米トランプ大統領 対日関税“市場開放なければ書簡どおり”

アメリカ・トランプ大統領は15日、日本が市場を開放しなければ来月から25%の関税措置を発動する可能性を示した。インドネシアについては交渉で合意したと公表し、32%の関税を19%に引き下げるとしている。

15日、トランプ大統領は関税交渉について、日本が市場開放しなければ書簡どおり来月1日に25%の関税措置を発動する可能性を示した。トランプ大統領はこれまでも”アメリカからの自動車の輸出が少ない”などとして「公平ではない」と重ねて不満を示していて、日本は市場開放が必要との考えを改めて強調した形。

一方でインドネシアとは関税交渉で合意したと公表。アメリカからインドネシアへの輸出では関税と非関税障壁が完全に撤廃され、インドネシアはアメリカのエネルギー製品150億ドル分、農産物45億ドル分、ボーイング製の航空機50機の購入を約束した一方、アメリカはインドネシアの関税率を19%にするとしている。トランプ政権はインドネシアへの関税率は来月から一律関税と相互関税を合わせて32%になるとしていたが、今回の合意で引き下げられることになる。「インドネシア市場への完全なアクセス権を獲得した」と述べたトランプ大統領は、来月1日までにいくつかの国と同様の合意を発表するとの見通しを示した。

辻’s Angle
生成AI 普及でインターネット検索に変化

今回はインターネットの検索について。検索の仕方が生成AIの普及で様変わりしつつある。これまでの主流はキーワード検索だったが、生成AIで調べる人が増えているためキーワード検索をする人が減っている。今月発表された世界で行われたウェブ検索をみると、去年6月の指数を100とした場合、この1年で15%減少。ニュースに関連したChatGPTの利用指数は去年1月と比べると200%増えている。一方でGoogle検索は5%減った。この変化は多くの業界に衝撃を与えた。AI検索をする人が増えるほど、個別のウェブサイトを訪れる人の数が減るから。その衝撃をイギリスの経済誌「エコノミスト」はインターネットがんだと墓石の風刺画で表現した。IT大手アップル・エディーキュー上級副社長は4月に「サファリによるグーグル検索が22年間で初めて減少した」と明らかにしたうえで「グーグルのような標準的な検索エンジンはいずれAI検索にとって代わられるだろう」と述べたと報じられている。

グーグルもAI検索を強化。AI検索の強化はさらに個別のウェブサイトを訪れなくなる動きを加速させている。検索上記のAIの概要だけで満足してしまい下のリンクはクリックしない「ゼロクリック」の動きの一例を紹介した。グーグルでの検索の「ゼロクリック」の割合は急激に増加しているが、ニュースサイトの訪問者数は減少。「ゼロクリック」が増えるほど個別サイトへの訪問者数は減っている。ウェブサイト全体のアクセス数の減少はオンライン上の広告で収益を上げ活動している企業や産業に大きな影響を与えかねない。アメリカではのビジネスニュースのウェブメディア「ビジネスインサイダー」は今年5月、従業員の21%の人員を削減した。生成AIの台頭で自社のウェブサイトに来る人が減ったことが原因と報じられている。生成AIによる検索はインターネットのあり方を根本から変えることになるのか、AIがもたらす変化の波は留まるところを知らない状況。

WOW!The World
ビヨンセさんの“未発表曲” 盗難

ビヨンセさんが今月8日にツアーで訪れたジョージア州アトランタで駐車場に停めていたスタッフの車が車上荒らしに遭った。スーツケースが盗まれ、その中には未発表曲などのデータも入っていたという。警察は容疑者を指名手配し行方を追っている。

バチカン ラファエロの間 修復完了

バチカン美術館にあるラファエロの間が10年にわたる修復作業を終え公開された。1500年代初めにルネサンスを代表する画家で建築家のラファエロと弟子たちが手がけた4つの部屋。そのうち最も広い部屋では洗浄、復元の過程で壁画の下に釘を発見。油性絵の具を直接壁に施し釘を壁に埋め込んで絵を描いた樹脂の表面を固定するという新たな技法が用いられていたことも明らかになったという。

炎のオートバイ走行で世界記録

消防士でスタントマンのフランス人男性がオートバイで体に火をつけた状態で約440mを走行。炎に包まれてオートバイを走行した距離でギネス世界記録を樹立した。オートバイは防火仕様だったが絶対に真似をしてはいけない。

ノッティングヒルの住人

イギリス・ロンドンの高級住宅地・ノッティングヒルはカラフルに彩られた家並みが観光客に大人気。きっかけは映画の舞台になったこと。SNSで人気に拍車がかかり、敷地内に入り込んでポーズをとる人もいて、外壁を黒く塗る住民も現れたが観光客からは「黒とレンガのコントラストがきれい」などの声。観光客を追い払うのは難しいかもしれない。

(ニュース)
イスラエル軍 ガザ地区 レバノン シリアにも攻撃

イスラエル軍はガザ地区での軍事作戦を続けていて、連日100人前後が犠牲となっている。隣国レバノンやシリアにも攻撃を行っていて地域情勢は不安定な状態。

ガザ地区では連日イスラエル軍の攻撃が続き、アルジャジーラは「16日早朝からの攻撃で少なくとも20人が死亡した」と伝えている。地元の保健当局は過去24時間の死者について、今月13日には139人、14日には120人、15日には93人が死亡したと発表。イスラム組織ハマスとの停戦協議に進展が見られない中、犠牲者の増加に歯止めがかからない事態が続いている。

一方、イスラエル軍は16日、隣国シリアの首都ダマスカスにある暫定政府の軍本部を攻撃したと発表した。シリア南部ではイスラム教ドルーズ派と遊牧民との間で起きた衝突をめぐり暫定政府が軍の部隊を派遣しているが、イスラエルは15日に暫定政府の軍の車両を攻撃。イスラエルは国内にも一定数が暮らすドルーズ派の住民を守る姿勢で、ガッツ国防相は16日「シリア暫定政府の部隊が撤退するまで攻撃を続ける」と警告した。また、イスラエル軍は去年11月に停戦合意した隣国レバノンへも攻撃を繰り返している。15日にはレバノン東部でイスラム教シーア派組織ヒズボラの軍事施設を標的に空爆し、アラブメディアはこの攻撃で12人が死亡したと報じた。ガザ地区での停戦が見通せない中、イスラエルが各地で攻撃を続けることで今後の情勢への影響が懸念される。

トランプ大統領 ウクライナに“モスクワ攻撃可能か質問”報道

イギリスの経済誌はアメリカ・トランプ大統領がウクライナ・ゼレンスキー大統領に対し射程の長い兵器を供与すればロシアの首都モスクワなどを攻撃できるかと質問したと報じた。これに対しホワイトハウスの報道官は「さらなる殺りくを推奨したわけではない」と反論した。

イギリスの経済誌「フィナンシャルタイムズ」は15日、複数の関係者の話として、トランプ大統領が今月4日にゼレンスキー大統領と電話会談を行った際のやりとりを報じた。それによると、この会談はトランプ大統領とプーチン大統領の前日の電話会談がきっかけで、トランプ大統領はみずから提案した停戦交渉にプーチン大統領が応じないことに不満を募らせていたという。ゼレンスキー大統領に対し、アメリカが射程の長い兵器を供与した場合「モスクワを攻撃できるか、サンクトペテルブルクも攻撃できるか」などと質問したトランプ大統領。ゼレンスキー大統領は「もちろん、兵器を供与してもらえれば可能」と応じたとしている。またトランプ大統領は「ロシア側に痛みを与えるもの」と述べ、ロシア側を交渉に応じさせることが目的と伝えたという。

この報道についてホワイトハウス・レビット報道官は15日に声明で「トランプ大統領は単に質問しただけでさらなる殺りくを推奨したわけではない」と反論した。15日に記者団から「ウクライナに長距離ミサイルを供与する意向はあるか」と問われたトランプ大統領は”そのようなことは考えていない”と否定した上で「ゼレンスキー大統領はモスクワを標的とすべきではない」と述べた。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
ミャンマー “軍の学校空爆” その真相は

4年前、クーデターで実権を握ったミャンマー軍とこれに抵抗する民主勢力側の激しい戦闘は収束の兆しは見えない。3月の大地震発生を受けて双方が一時的な停戦を表明したものの、国連によると軍は地震の後も600回以上攻撃を繰り返しているという。今年5月には軍が民主は勢力側の学校を空爆し、20人以上の児童や生徒などが死亡したとミャンマーの独立系メディアが報道。この報道を軍が全面否定したことで世界の関心が集まった。誰が学校を空爆したのはNHKは国際的な調査団体ミャンマーウィットネスと共同調査を立ち上げ、空爆の真相に迫った。動画が捉えた機影とエンジン音から学校を攻撃したのはミャンマー軍の戦闘機の可能性が高いと調査団体がみている。国営メディアは軍の主張に追随する記事を連日掲載した。ミャンマー情勢に詳しい上智大学の根本名誉教授は「軍は大地震をきっかけに世界の国々が自分たちを政権と承認し支援してほしいと考えている」「各国からの支援窓口となる“震災外交”を展開しているため、学校を空爆した事実を国際社会から隠したい」とミャンマー軍の思惑を指摘している。

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