- 出演者
- 辻浩平 藤重博貴 酒井美帆
オープニングの挨拶。
8月1日期限”延長認めない”、中国元弁護士・24時間監視され、台湾軍事演習・有事に備え、パリのカリスマ・ルーブルに立つ。
アメリカ・トランプ大統領は7日、相互関税の一時停止期限を来月1日に延長する大統領令に署名するとともに、日本を含む14か国に新たな関税率を通知する書簡を公表。日本からの輸入品には25%の関税を課すとしていて、8日にはSNSで「関税の徴収は来月1日に始まる」と強調したうえで「日程に変更はない。延長は一切認めらない」とさらなる延長は認めないとの考えを示した。アメリカ財務省は8日、ベッセント長官が大阪・関西万博に参加するため来週訪日すると明らかにした。アメリカメディアは「貿易をめぐる公式協議は予定されていない」と報じているが、日米の閣僚交渉が行われるか注目される。
アメリカの関税措置にどう対応するか、カナダ・アナンド外相が単独取材に応じ「鉄鋼とアルミニウム産業は50%の関税により打撃を受け自動車産業も影響を受けている。カナダの企業や労働者たちは深刻な影響を実感している」と述べ、今月21日までに交渉を通じアメリカと合意を目指す考えを強調した。
各国に対し関税措置への対応を強く求めるトランプ政権。その関税政策を支持する人々を取材した。アメリカ南部サウスカロライナ州・ジョージタウンは人口約9000人、共和党支持者が多く大統領選挙ではトランプ氏の得票率は約60%に達した。去年12月、約90年間創業した製紙工場が突如閉鎖され約700人が解雇された。「製紙工場がなくなることはこの町にとって大打撃」と話す地元住民。地元の労働組合の組合長は「トランプ政権の関税政策を100%支持する。雇用を促すきっかけになるはず」と語った。製紙工場で長年勤務していたクリフォードフォードさんは警備員として再就職できたが年収は半減。工場閉鎖直前に自宅を購入していて、収入のほとんどはローン返済と生活費に消え老後への蓄えはできないという。トランプ大統領の関税政策で国内産業が復活し家計の改善につながると期待していて「まずは自国を立て直してから他国を助けるべき。彼の意図は善意と信じている」などと語った。
トランプ大統領が来月から各国に課すとした新たな関税率。中でも高い数値となっているのが東南アジアの6か国。25%から最も高い国では40%となっている。こうした中、ASEAN(東南アジア諸国連合)の一連の外相会議がマレーシアで開かれている。加盟国からは今回の関税措置への懸念の声があがっている。開会式で議長国マレーシアのアンワル首相はアメリカのトランプ政権の関税政策を念頭に「関税や輸出制限、投資の障壁は今や地政学的な対立を促す道具となっているASEANは信念をもってこの現実に立ち向かわなければならない」と述べた。会議は非公開で行われ、外交筋によると、複数の加盟国から“一方的な関税措置はASEANの経済成長や安定に影響を与えるおそれがある”といった懸念が相次いで表明されたという。あすはアメリカのルビオ国務長官とASEAN加盟国の外相会議も行われる予定で、トランプ政権の関税政策をめぐって議論が行われるとみられる。
ASEAN側の対応について、ASEAN側はアメリカだけではない貿易相手の多様化を急いでいるという。今回の会議の共同声明はまだ発表されていないが、ASEAN以外の地域との貿易や経済関係の強化を確認したものとみられる。加盟国のうち、タイはEUとのFTA(自由貿易協定)の年内の締結を急いでいるし、インドネシアはトルコとの貿易額を4倍に増やす目標を設定することで一致している。
8日、方針を撤回してウクライナへの防衛のための兵器を追加で供与すると発表したトランプ大統領。そのウクライナでは9日にかけて大量の無人機による攻撃があり、ロシア軍は攻撃を一段と強化しているものとみられる。9日にかけ700機以上の無人機による攻撃を受けたウクライナ。ゼレンスキー大統領は“1日あたりの攻撃としてこれまでで最大の規模だ”として“停戦実現を拒否する象徴的な攻撃”と訴えた。攻撃を一段と強めているとみられるロシアに苛立ちを強めているのがアメリカのトランプ大統領。ウクライナい貿易の為の兵器を追加で供与することを明らかにした。トランプ政権は1日、国防総省が外国への軍事支援を見直す一環として一部の兵器の輸送を停止したとしていたが、この方針を撤回した形。政治専門サイト「ポリティコ」はトランプ政権でウクライナを担当するケロッグ特使とウクライナの梅ロフ国防相が10日からイタリアで開かれる会議などに合わせて会談すると伝えていて、具体的な協議が進むのか注目される。
今回はウクライナへの兵器供与をめぐるトランプ政権の方針展開について。政権内で十分な調整が行われていなかったとの見方が出ている。ホワイトハウスは今月1日、ウクライナへの武器輸送を停止したと発表したが7日、トランプ大統領は一転して供与を続ける方針を示した。記者が武器供与停止についてトランプ大統領に問いただすとはぐらかすように答え、さらに記者が「武器供与停止を命令したのは誰か」と問うと、トランプ大統領は「私にはわからない」と述べていた。トランプ大統領の承認がないまま供与停止が行われたことは政権内で意思疎通が出来ていなかったのではとの見方がある。
AP通信は「トランプ大統領はホワイトハウスとの調整が十分ではなかったと不満を示した」と報道。CNNは「ヘグセス国防長官が輸送停止決定を事前にホワイトハウスに報告していなかった」と伝えた。兵器の供与停止は国防総省の主導で行われたとみられている。”ウクライナではなく中国に注力すべき”と考える一部高官の考えが反映されたとも報じられている。ウクライナ情勢で注目すべき点は、トランプ大統領がロシア・プーチン大統領への不満を公に示し始めていること。きのうは「プーチン大統領から沢山のでたらめを聞かされている」とまで発言。ロシアへの追加制裁を検討するともしている。理由は、ロシア側が譲歩する姿勢を見せないため。先週、トランプ大統領はプーチン大統領と電話会談したが、その直後にロシアはウクライナに最大規模の攻撃をしかけた。アメリカのニュースサイト「アクシオス」は「トランプ大統領が防空ミサイル10発をただちにウクライナに送る意向」と伝えている。
フランス・パリの集合住宅で火災が発生。6階の部屋には逃げ遅れた家族がいたが、隣の建物に住む39歳の男性が地上20mの高さにある建物のわずかな出っ張りをつたって子ども4人と母親2人を助け出した。救助した男性は「何としても助けなければとためらうことなく飛び出した」と語った。救助された母親は「彼は英雄」と話した。近隣住民がこの救出劇をカメラにおさめていた。
ベトナムの首都ハノイからホーチミンまで全長約1700キロを結ぶ南北統一鉄道。世界的旅行ガイドブック・ロンリープラネットが選ぶ”世界で最も素晴らしい鉄道の旅24選”の1位となった。景観、文化と歴史、独創的な体験、持続可能な観光などを基準に選ばれた。多くの名勝を通る東南アジアで最も愛される鉄道のひとつで、スケールの大きい夜行列車の旅も楽しめるという。
中国で行われたサッカーの試合。4チームが参加し、選手はすべてヒト型ロボット。ボールを認識し自ら動き、倒れたら立ち上がることもできる。それでも何体かは担架で搬送された。
アメリカ・コロラド州の5歳の少女が涙目で訴えたのは、メキシコ料理店で大好物のワカモレが出てこなかったこと。この映像がSNSで話題となり「僕が懲らしめてあげる」など続々と反応が出ると、メキシコ料理店は一家を招待し少女をワカモレ主任に抜擢。少女はシェフと一緒にワカモレ作りを体験した。
台湾有事に備える定例の軍事演習がきょうから始まった。都市に住む大勢の市民が参加する大規模訓練も行われる予定。今年の訓練の一番の焦点は、中国の武力攻撃に至らない”グレーゾーン”手法への対応が新たに盛り込まれた点。台湾周辺では中国人が乗った貨物船が海底ケーブルを損傷させる事件が相次ぐなど警戒感が強まっている。中国が海上封鎖や攻撃に転じる可能性が指摘されていて、演習を通じて対応策を検証したい考え。有事の際に動員する予備役は2万人余増やす予定で、きょうは予備役の訓練なども行われた。アメリカから購入した高機動ロケット砲システム・ハイマースなど最新鋭の兵器が演習に参加する。持久戦に持ち込み撃退する作戦なども検証するという。演習はきょうから18日まで実施。去年と比べ5日長く、これまでで最長となるがグレーゾーンへの対応などが盛り込まれたことが要因。
台湾の軍事力について視聴者から寄せられた声を紹介した。圧倒的な軍事力の中国軍に対じするのは簡単ではない台湾としては、軍と民間の連携を強化することで防衛力を高めていく方針。演習と並行して行われる訓練には大勢の市民が参加。インフラ設備への攻撃などを想定した大規模訓練が行われるほか、ミサイル攻撃を想定して通行人などを退避させる防空訓練が各地で予定されている。中国の攻撃を安価で機動性が高い装備で食い止める「非対称戦」の準備として、台湾の民間企業は無人機や無人艇の開発を急ピッチで進めている。台湾政権としては演習を通じて軍民連携を推進するとともに、有事に備える姿勢を国際社会にアピールし支援を得たい考え。
中国では10年前、人権擁護などに取り組む弁護士らが一斉に摘発された。取り調べを受けた人も含めると300人以上にのぼる。一部の弁護士は「国家の転覆をはかった」として有罪判決を受け国際的にも懸念の声があがった。刑期を終え出所した人は今も厳しい監視下に置かれている。
北京に住む人権派元弁護士の王全璋さんを取材した。「きょうはかなりしつこく尾行された」と語った王さん。自宅前には常に不審人物がいて、外出時も尾行されるという。王さんは「警察の指示を受け会社が雇った者たち。圧力を加えられるのは当局にとって”不安定要素”とみなされているから」と話した。人権派の弁護士だった王さんは当時”法律で弱い立場の人の権利を守りたい”と村で法律について教えていたという。習近平主導部が発足したころ、各地で政府にさまざまな要望を持つ人たちが抗議活動を行っていた。王さんたちは政府を批判することもためらわず市民の権利擁護を訴えた。2015年7月9日以降、当局は人権派弁護士らを一斉に摘発。その日付から「709事件」とも呼ばれ、中国全土で300人以上が取り調べを受けるなどした。「国家の転覆をはかった」として懲役4年6か月の実刑判決を受けた王さんは「いまは大きな事件があっても弁護士らが関与する情熱は大きく減退した。人権派弁護士たちは沈黙し注意深くなっている」と話した。
王さんの生活環境も一変。一旦は妻、息子と暮らせるようになったが、自宅は24時間監視され電気や水を止められ立ち退きを迫られたこともあった。息子は小学校から通学を拒否され、妻と息子は北京を離れて暮らしている。妻と息子だけでも外国に移住させようとも考えたが”国家の安全に危害を与える恐れがある”として出国は認められなかった。「私はひとりの政治犯であり、妻子は政治犯の家族。子どもの進学、就職も大きな影響があるだろう。私は父親としては失敗」と語った王さん。先週、改めて自宅を訪ねると自宅前には監視する人物。王さんは弁護士資格を剥奪されたが、今も法律の相談にのるなどしている。厳しい中でも活動を続けるのは、中国の法律や人権をめぐる状況を少しでも改善したいという思いからで「公正で独立した司法体制や人権が保障される制度がなければ”安全”な社会とはいえない。本当に人権が有効に保障される制度がつくられ市民がより自由になりすべての人が”安全”を感じられる社会になってほしい」と話した。
北京に住む人権派元弁護士の王全璋さんを取材。刑期終了後も厳しい監視が続いている王さん。法的根拠など明確な説明もないまま厳しい状況に置かれている。背景にあるのは、習近平指導部が最重視する「国家の安全」。あらゆる分野で徹底され、現場の当局者レベルでは忖度もあいまって過度な対応に繋がっているとみられる。取材した記者も王さんの取材後に尾行された。「709事件」では王さんの他にも監視や嫌がらせを受けている人がいて、国際的な人権団体も今月声明を出し批判している。人権派弁護士の活動はこの10年で状況は厳しくなった。市民による集団抗議活動も今は抑え込まれ、表立った活動を目にすることは大幅に減った。中国政府は共産党が主導する中国独自のやり方で対応する姿勢で、法律を使い権力や社会を統治する色彩が強い。そこに司法の独立や言論の自由といった価値観は前提とされていない。当局が許容する枠から外れた人たちの声は行き場をなくしている。