2025年7月5日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 ダライ・ラマ14世 後継者選びは?

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

チベット仏教の最高指導者・ダライラマ14世の後継者選びについて”後継者は伝統にのっとって選ばれ、他の誰も干渉する権限はない”と表明。これに対し中国政府は政府の承認が必要と強調している。

(ニュース)
トランプ大統領 “ゼレンスキー大統領ともに電話会談”へ

ロシア・プーチン大統領との電話会談について「非常に失望している。プーチン大統領は停戦するつもりはなく大変残念」と述べたトランプ大統領。4日にはウクライナ・ゼレンスキー大統領とも電話会談する見通し。今回が6回目の電話会談でロシア大統領府・ウシャコフ補佐官は「トランプ大統領が早期停戦を改めて求めたのに対し、プーチン大統領は交渉による紛争の解決を模索し続けている」と述べた。プーチン大統領は「ロシアは深刻な対立をもたらした根本原因の除去という目標を追求する。ロシアは目標をあきらめない」と述べたとしている。

プーチン大統領はこれまでウクライナへの侵攻は、欧米諸国がロシアの安全保障上の利益を無視しNATO(北大西洋条約機構)の拡大を続けたためと主張、和平の条件としてウクライナの中立化などを求めている。こうした条件が認められないかぎり戦闘を続ける考えを示したとみられる。トランプ大統領は「非常に失望している。彼は停戦するつもりはなく大変残念」と述べた。電話会談ではトランプ政権によるウクライナへの一部の武器の輸送停止については議論されなかったとしている。ウォールストリートジャーナルは2日、ポーランドまで運ばれていた防空システム「パトリオット」のミサイルと携帯型防空ミサイル「スティンガー」各20発以上の輸送も停止したと伝えた。武器輸送を停止した理由についてトランプ大統領は完全に武器輸送を止めたわけではないと説明した。

ウクライナ空軍によると、3日夜から4日にかけロシア軍による首都キーウなどへの500機を超える無人機などによる大規模攻撃があったという。ウクライナ・ゼレンスキー大統領は4日「これまでに23人がケガをした。最も大規模な攻撃のひとつだ。ロシアが戦争を終わらせるつもりがないことを示している」と自身のSNSに投稿し非難した。トランプ大統領は4日にウクライナ・ゼレンスキー大統領と電話会談するという。

期限迫る関税交渉 トランプ氏 書簡で関税率 通知へ

アメリカにとって貿易赤字の大きい国や地域を対象にした相互関税の一時停止期限が9日に迫る中、各国はアメリカとの関税交渉を急いでいる。トランプ大統領は「4日から10~12か国に対し書簡で関税率を通知する。関税率は60あるいは70%程度から10%、20%程度と広範囲になるだろう」と明らかにし「8月1日から支払いは始まりお金はアメリカに入り始める」と述べた。4月発表の最も高い関税率はアフリカ・レソトの50%。日本との交渉を主導してきたベッセント財務長官は3日、CNBCのインタビューで「日本は現在困難な状況にいる。参議院選挙が合意に向けた多くの国内的制約になっている」と述べ、今後の交渉の行方を見ていく必要があるという認識を示した。トランプ大統領の判断が注目される。

Voice to Voice
トランプ政権の政策 賛否の声

トランプ政権をめぐる皆さんから寄せられた質問に答える。ハーバード大学をめぐる問題について、多くは批判的な意見だったが、トランプ政権の政策を支持する声も少なくない。寄せられた声を紹介。トランプ政権はハーバード大学に対し助成金の打ち切り、留学生を入国制限する政策を打ち出している。理由は「反ユダヤ主義的」「リベラルすぎ」としているが、大学側はこれを否定し反発している。今年5月、ニューヨークタイムズにハーバード大学の現役教授・スティーブンピンカーさんは「ハーバード大学がリベラルに偏りすぎている」と寄稿。元ハーバード大学研究者・キャロフーベンさんはおととし辞任に追い込まれた。理由は「性別は生物学的には男女2つしかない。生殖細胞の種類によって決まる」との発言。ジェンダーの多様性を重視するリベラルな大学内の動きが発言を許容しなかったともみられている。

ハーバード大学の学生新聞が一部学部の教職員に政治志向を調査した結果、「リベラル」と「とてもリベラル」の回答は計77%超。一方「保守」と「とても保守」の回答は計2.5%。ピンカー教授は政治的多様性のなさが研究を歪めるリスクを指摘。また、学内の言論の自由について全米の約250の大学の5万5000人以上の学生に聞いたところ、ハーバード大学は最下位となっった。トランプ大統領の発言にはこうした背景があるのかもしれない。

仮に大学がリベラルに寄っていたとしても政治からの圧力が正当化されるかは別問題。ピンカー教授はトランプ大統領について”明らかな動機は政府以外の影響力の拠点となる市民社会の機関を弱体化させること」と批判的な意見も寄稿。トランプ政権の政策へ批判する側の意見としては「教育機関の政府からの独立が揺らぐ」「政府による言論の弾圧」「助成金削減で研究が阻害される」などもある。トランプ政権の政策に対し真っ二つに分かれる評価。どちらが正しく、どちらが間違っているという問題ではない。中間を選ぶ選択肢もある。

(ニュース)
米トランプ大統領“ハマス側の回答 24時間以内に分かる”

オーストラリアABCは、ガザ地区で食料配給所の警備兵がパレスチナ人に実弾などを発砲しているとされる映像を公開。アメリカとイスラエルが主導するガザ人道財団による食料配給が始まって一ヶ月、契約スタッフのアメリカ人がAP通信に「罪のない人達が理由なく傷つけられている」と語った。パレスチナ・ガザ地区での60日間の停戦をめぐる協議について、アメリカ・トランプ大統領は「ハマス側の回答は24時間以内に分かる」との認識を示した。ハマス側が求める戦闘の終結につながる保証などでどのような回答を示すのかが焦点。複数のメディアによると、停戦案では60日間の停戦と引き換えにハマス側が人質10人と18人の遺体を段階的にイスラエルに引き渡し、機関中に戦闘終結に向けた協議を行うとしている。トランプ大統領は「イスラエル側は停戦案に同意」としていて、ハマスが前向きな回答を示せばイスラエル側が代表団を派遣し仲介国を通じ詰めの協議を行うと伝えられている。

サウジアラビアのメディアは4日、ハマス側はアメリカが示した停戦案にはガザ地区への援助物資の搬入やイスラエル軍の撤退などの条件で進展があったとして合意に前向きな姿勢と報道。ただハマスは、60日間の停戦が戦闘の完全な終結につながることを保証するよう求め、ハマスの壊滅を目指すイスラエル側と対立していて、こうした点でどのような回答を示すのかが焦点。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
ダライ・ラマ14世 後継者選びの行方は

90歳の誕生日を前に声明を出したチベット仏教の最高指導者・ダライ・ラマ14世は、転生者の選定や承認は伝統にのっとって行われるべきだ。他の誰も干渉できないと述べた。これに対し中国は、後継者選びに関与すると強調。チベット自治区には歴代のダライ・ラマが崇拝されてきた。チベット動乱の後、ダライ・ラマ14世はインドに亡命。北部ダラムサラを亡命政権の拠点とする。「輪廻転生」の考え方に基づき、高い位の僧侶などがダライ・ラマの生まれ変わりを探す伝統が受け継がれてきた。次の15世はどう選ぶのか。他の誰も干渉する権限がないと述べ、中国政府をけん制。中国政府は中国政府の承認必要と強調、チベットへの影響力を高めるためとしている。

インドのダラムサラには1万人近くのチベット仏教徒の人たちが暮らしている。早朝、寺には多くの信者が集まっていた。90歳の誕生日目前、長寿を祝う法要が行われていた。集まった一人一人に祝福を与えていた。後継者選びについても信者の間では関心が高まっていた。1959年、チベット支配を強める中国政府が一斉ほう起した住民を武力で鎮圧。約8万人がチベットから逃れる。長年、ダライ・ラマ14世の法衣を作る男性もダライ・ラマ14世を追い、インドへ。男性は、法王の考えに従いますと述べる。ダライ・ラマ14世は動画メッセージを公開。輪廻転生に基づく後継者選びは法王庁が責任を持つとし、他者の介入を認めない方針を強調。中国政府は後継者は中国政府の承認が必要と主張。1989年、パンチェン・ラマ10世が死去。その後、ダライ・ラマ14世がパンチェン・ラマ11世に6歳の少年を認定。ところが少年はその後行方不明に。中国政府は別の少年をパンチェン・ラマ11世に認定。中国政府認定のパンチェン・ラマ11世は習近平主席と面会。中国政府の指導下にあることを印象付けた。

あさってがダライ・ラマ14世の90歳の誕生日。現地ではお祝いムードが広がっている。後継者選びの今後は?ダライ・ラマ14世の自伝は最近出版された。次のダライ・ラマは自由世界に生まれると記載されている。チベット亡命政権・ペンパ・ツェリン首相は、中国はこの20年以上、現ダライ・ラマが早く亡くなることを前提に準備を進めてきた。彼らには計画があり、当然それは政治的な意図によるもの。次のダライ・ラマを支配下に置くことができればチベット全体をコントロールできると考えていると述べた。

まもなく90歳 後継者選びは ダライ・ラマ14世

東京大学大学院・平野聡教授に話を聞く。中国はなぜ固執するのか?国家の統一と直結しているから。チベットと中国を支配していた清朝は、ダライ・ラマを含むチベット仏教の高位の僧は清朝の承認によって選出。乾隆帝が決めた通りにくじ引きをしてそれを中国政府が認証することが中国にチベットに対する関与の最たるものと考えているので中国政府が譲ることはない。今後の対応は?習近平のもとで中国化されたチベット仏教が反映していくことを全世界に宣伝するはず。ダライ・ラマ14世の方針を受け入れたりしないよう、チベット仏教徒に対して様々な思想統制を今後一層厳しく行っていく可能性がある。2人ダライ・ラマ15世の影響は?中国が選んだダライ・ラマ15世を認証していくと話した。

WOW!The World
リバプールFW ジョタ選手 交通事故で死亡

リバプールで今シーズンのリーグ優勝に貢献したジョタ選手が自動車事故で死亡。クラブの本拠地には何千人ものファンが訪れ彼の死を悼む。ポルトガル代表としても活躍し、先月結婚したばかり。2人には3人の子どもがいた。代表チームのロナウド選手は、なぜこんなことが起きるのかわからないとして弔意を示す。

アメリカ“ティラノサウルス”が走る

アメリカ西部で開催されたのは恒例の恐竜レース。走るのはティラノサウルスの着ぐるみを着た人間。空から参加した恐竜もパラシュートでコースに舞い降りる。このレースは害虫駆除会社がチームワーク育成を目的として始めたもの。

Human@globe
“聞こえなくても諦めない”デフ選手の思い

聴覚障害があるアスリートが参加するデフリンピックは今年11月、日本で初開催。前回のデフリンピック陸上男子100mの金メダリスト佐々木琢磨さんはスタートランプを世界に普及させた第一人者。今年2月、佐々木琢磨さんはドミニカ共和国で現地の聴覚支援学校の競技会に参加。スタートランプを日本から持ち込み子どもたちに実際に使ってもらうのが狙い。中学で陸上を始め耳が聞こえないことでスタートに苦労していた。大学の時に出会ったのがスタートランプ。ろう学校で陸上部を指導をしていた竹見さんが開発。完成品は極限まで薄くし側面も光らせて審判が確認できる。しかし関係者の理解をなかなか得ることが出来ず佐々木さんは知ってもらうため普及に努めた。前回のデフリンピックでは日本のスタートランプを初めて全面的に採用。世界のデフアスリートからこのランプを自国にも導入したいという声が上がっている。佐々木琢磨さんは「ランプを見て走ることは楽しいと思ってほしい」などとコメント。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
アメリカ 減税法案 議会下院で可決

アメリカの議会下院はトランプ大統領が重要政策として掲げる減税策を盛り込んだ法案を3日可決。トランプ政権1期目に実施した個人の所得減税の恒久化、飲食店の従業員などが受け取るチップや残業代への課税を一定期間免除することなどが盛り込まれれている。一方、アメリカの議会予算局は法案が成立すれば10年間で約3兆4000億ドル、日本円で490兆円余り財政赤字が拡大するとの試算を公表していて財政悪化への懸念も高まっている。

ロシア タリバン政権 承認を発表

ロシア外務省が正式に承認したタリバン暫定政権。エネルギーや農業などの経済分野やテロ対策などでの連携強化に期待を示した。タリバン暫定政権を巡ってはこれまで承認した国はなくロシアが初。タリバン暫定政権のムッタキ外相はビデオ声明を発表、ロシア政府に謝意を示したうえで「アフガニスタンとロシアの関係をさらに拡大させるものだ」と評価。

米イラン 核開発めぐる協議 再開へ

アメリカメディアは、ウィトコフ中東担当特使がイラン外相とオスロで会談し、イランの核開発をめぐる協議を再開することを計画している、と伝えた。

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