- 出演者
- 辻浩平 藤重博貴 酒井美帆
「差し迫る危機、氷河消失」などのラインナップとともにオープニング映像が流れ、司会者が挨拶した。
トランプ政権の関税措置によって対立がより深まっているアメリカと中国の外相による会談が、きょう行われた。トランプ政権の発足以降、両者が対面で会談するのはこれが初めて。ASEANの一連の外相会議が開かれているマレーシアの首都クアラルンプールで行われた。中国外務省によると、会談で王毅外相は“アメリカ側が客観的な姿勢で中国を捉え、新しい時代の両国の正しい道を共に模索することを期待する”と述べた。双方の発表では会談について“建設的で実務的だった”としている。会談後、記者団の取材に応じたルビオ国務長官は「とても建設的で前向きな会談だった」などと述べた。その上で、双方は“意思疎通を強化し、互いの意見の相違については適切に管理し、協力できる分野を模索していくことで一致した”としている。両国の首脳は先月の電話会談で相互訪問を行うことで一致していて、今回の外相会談はその地ならしの意味合いもあるとみられる。ルビオ国務長官は米中の対面での首脳会談の実現について、確率は高いとの考えを示した。
ルビオ国務長官は米中外相会談の前の日に、ロシアのラブロフ外相とも会談。日本時間の昨夜、マレーシアの首都クアラルンプールでおよそ50分にわたって行われた。会談後取材に応じたルビオ国務長官はウクライナ情勢について「率直な会話をした」とし、ロシア側に「トランプ大統領はロシア側が紛争終結に向け柔軟性がないことに失望している」と伝えたと答えた。ロシア側は国営テレビが「両国が紛争の平和的解決を模索することを確認した」との外務省の発表を伝えたが、具体的な内容には言及していない。ロシア軍はウクライナの各都市への攻撃を激化。アメリカのトランプ大統領は8日、ウクライナへの輸送を停止していた防衛のための兵器を追加で供与すると発表。ロシアへの追加制裁を検討する考えも示している。
ウクライナ侵攻を続けるロシアの脅威は、ヨーロッパの安全保障を揺るがす事態となっている。ヨーロッパの核保有国であるイギリスとフランスの両首脳は10日ロンドンで首脳会談を行い、地域の安全保障を強化するため核兵器の抑止力について連携することで合意したと発表。イギリスを国賓として訪問しているマクロン大統領はスターマー首相と首脳会談を行った。会談後行われた記者会見でスターマー首相は、両国が「NATOのリーダーとして、この大陸の平和と安全の維持に極めて重要な役割を果たす」などと述べた。イギリス政府の声明では、両国の核抑止力はそれぞれ独立しているものの連携は可能だとして、両国の核心的利益を脅かす敵対勢力に対し“両国の核戦力で対抗できる”としている。さらに、停戦後にウクライナの安全を保障するため部隊の派遣を検討する有志連合の関係国とも協議。停戦が実現した後、速やかに部隊を展開できるよう準備を本格化させることも明らかにした。
テーマは世界から見た“戦後80年”。ドイツなどがどう過去の歴史と向き合ってきたのかという視聴者の声を受け、ドイツでは600万人ものユダヤ人が虐殺されたホロコーストにどう向き合ってきたのか、ベルリンの田中顕一支局長が説明。キーワードは「日常の中に歴史を感じる」。例えば、ホロコーストで亡くなったユダヤ人の名前と生年月日が記され、犠牲者が住んでいた家の前の地面に埋め込まれている「つまずきの石」。また、強制収容所にユダヤ人を乗せていった列車が使っていたホームが今も残っている。一方、ドイツでは社会の分断が進み、右派政党「ドイツのための選択肢」が台頭。2017年、この政党の幹部が「首都の中心に“恥の記念碑”を作ったのはドイツ人だけだ」と発言。恥の記念碑と呼んだのはホロコーストの慰霊碑。戦争の反省を否定することをタブー視してきたドイツ社会に大きな衝撃を与えた。さらにドイツの学校ではナチスの鉤十字を書いたりナチス式の敬礼をしたり、移民のバックグラウンドがある同級生を脅かすといった事例が増えているという報告もある。増え続ける移民や社会や価値観が急速に変容していることに反発する人々が増えていることが背景にある。ドイツとポーランドでは、2016年から20年にかけて、研究者らが中等教育向けの歴史教科書を作った。両国の視点を取り入れることでどちらかに偏ったりせず、多様な視点を取り入れている。
世界から見た“戦後80年”を8月1日午後10:00から放送予定。視聴者の意見を募集。
パリ近郊の村にフランスで唯一の旗手を要請する学校が開校。指導するのは旗手歴30年のベテランで「旗手はみんな年をとってきて動くことができない」とコメント。これまでに10代の若者20人ほどが実技と理論の研修を修了。資格を取れば革命記念日の軍事パレードなど全国の式典で旗を持つことができる。
NBAのスーパースターだったマイケル・ジョーダンが住んでいた家に泊まれる。アメリカ中西部にある邸宅が、民泊仲介サイトに登録。敷地面積2万8000平方メートルあまり、7つの寝室と17のバスルームを持つ豪邸でバスケットボールコートもある。9月の祝日を含む1週間で1700万円以上。
北太平洋にいるシャチの映像から新たな生態がわかってきた。おばあちゃんと孫のシャチが海藻を互いの体の間に挟みこすり合っている映像で、研究者は海藻を使ってマッサージしているという。海洋哺乳類の専門家は「皮膚の健康を保ち互いの絆を深めるための行為」などとコメント。この行動がこのグループ固有のものかどうかはまだわかっていない。
台湾とフィリピンの間にある海の要衝“バシー海峡”は南北およそ100km。海洋進出を強める中国にとっては南シナ海から太平洋へ抜ける入口。中国軍は先月初めて、バシー海峡を通過した空母「山東」「遼寧」が2隻同時に太平洋に進出して訓練を実施。また、バシー海峡周辺で大規模な軍事演習を繰り返すなど活動を活発化。一方、アメリカ軍が活動を活発化させているのがバシー海峡に接するフィリピンの島々“バタネス諸島”。5月、バタン島に台湾本島までのバシー海峡一帯を射程圏内におさめる対艦ミサイルの発射システムを始めて展開して、中国を牽制する姿勢を示した。台湾を巡る米中対立の最前線にあるのがバシー海峡。バタネス諸島の島々にNHKの取材陣が入った。アメリカと相互防衛条約を結ぶフィリピンは有事の際、矢面に立される可能性もあり、島民たちの間では不安も広がっている。
11あるバタネス諸島の島のうち、人々が暮らすのは3島のみ。人口は合わせて1万9000人足らずで、独自の文化を残す先住民族「イバタン族」が暮らす素朴な島々。先月、島内に常駐するフィリピン海兵隊が軍事訓練を実施。上陸した敵の拠点を制圧する想定で襲撃の手順を確認。参加者はいずれも軍の予備役を務める島民たち。常駐するフィリピン軍は規模が小さく正規の兵士だけでは人員が足りないため、有事の際には民間人の予備役が招集。20歳の女性であるガバルドンは「予備役になりたくて入った」、3人の子どもを持つゲチャは「自国を守りたい」などと話した。有事の際、台湾に近いバタネス諸島も攻撃される可能性があるとして、フィリピン軍はおととしから予備役の募集を強化。これまでにおよそ600人を確保。アメリカ海兵隊とも今年初めて合同訓練を行うなど、軍は予備役の訓練をさらに拡大していく方針。フィリピン海兵隊のプエブラス報道官は「訓練を最大限に増やす必要がある」などと述べた。アメリカ軍も島内での活動をさらに活発化させている。今年4月には台湾に最も近い空港を使って合同軍事演習を実施し、複数の航空戦力を投入。輸送機「オスプレイ」を使った訓練や大型輸送ヘリコプター「チヌーク」を使って軍用車両を島に運び込むなど敵の上陸を阻止する訓練が行われた。
有事さながらの状況に島民たちは不安を募らせている。バシー海峡で漁業を営む漁師のグティエレスは、漁業や観光業が主な収入源となっている島では“このまま緊張が続けば島民の生活は立ち行かなくなる”と心配している。訓練を受け入れたイトバヤット島のサゴン前町長も今後の先行きに不安を抱えている。台湾には出稼ぎ労働者を中心におよそ18万人のフィリピン人が暮らしていて、バタネス諸島は有事の際の退避ルートの1つに想定されている。しかし、避難民に対する島の受け入れ態勢は整っていない。島の港は小さく、大きな船は接岸できないため、アメリカや中央政府に港を拡張するための支援を求めているが、取り組みは進んでいないという。有事に備えて緊急用の食料備蓄倉庫も去年、アメリカの支援を受けてつくられたが、予算が限られているため簡素につくられた倉庫は台風の影響で一部が壊れ、修理のめども立っていない。バシー海峡を巡る緊張は今も高まり続けている。
アメリカ・テキサス州で少なくとも120人が死亡した大規模な洪水から11日で1週間となる。このあとトランプ大統領が現地を訪問する予定で地元当局やトランプ政権の対応を疑問視する声が上がる中、どのようなメッセージを発信するのか関心が集まっている。テキサス州では大雨の影響で今月4日未明に川の水位が急激に上昇し、サマーキャンプに参加していた子どもたちなど大勢の人たちが川に流され、少なくとも120人が死亡、160人以上の安否が確認できていない。氾濫したグアダルーペ川沿いでは10日もボートでの捜索や損傷した橋の修復が行われていた。ボートはひっくり返り、斜面は崩れ落ちていた。洪水が起きた地域では過去に繰り返し水害が発生していたが、サイレンなどの防災システムが導入されていなかった。アメリカABCは「地元当局の対応について検証を求める声が上がっている」と伝えている。テキサス州郡担当者は「隠し事なく全面的に手続きを見直す」と述べた。全国から応援に駆けつけ音波探知機やドローンなども使い捜索している。11日にはトランプ大統領が現地を訪問する予定。
アメリカ・テキサス州から現場を取材する森記者が報告。被害を受けたキャンプ場は土だらけになり、宿泊用の大きなトレーラーも流された。きょうもボランティアを中心に樹木を取り除く作業が行われる。かつてない規模だったこと、深夜から早朝にかけて起きたことが多くの人たちの命を奪ったことに間違いはない。ただ、人為的なミスがなかったのかという点は検証されるべき。過去に度々水害などが起きているにも関わらずサイレンなどの防災システムが導入されていなかった。トランプ政権下で意思決定のプロセスが見直された結果、現地への支援が遅れたという報道も出ている。こうした中でトランプ大統領がまもなく被災地を訪れる予定。
アルプス山脈にあるフランス最大のメール・ド・グラス氷河。フランス語で「氷の海」を意味するこの氷河は世界各地から訪れる観光客を魅了してきた。約200年前にあった氷河は徐々に消失し谷の下にまできている。現在は1年で平均5mの厚さが失われているという。氷河は世界各地に27万余存在し、一部の溶け出した水が溶け出した水と合わせて20億人の水源になっている。しかし今、温暖化の影響で世界各地で急速に溶け出し、人々の暮らしを脅かす存在になっている。フランス南東部アルプス山脈の山間にある集落ラ・ベラルドには、かつて50人ほどが暮らしていた。一面が岩と土砂に覆われ住宅は廃虚となっている。去年6月20日から翌日にかけて上流にあった氷河が流れ出し、大量の土砂や水が集落を襲った。災害を調査した専門家(フランス国立科学研究センター研究部長のエリック・ラローズ)と共に氷河を目指す。標高約2500m、一面の岩の下に全長3.5kmのボンヌ・ピエール氷河が横たわっている。当時、周辺一帯に巨大な湖ができていたが、激しい雨が降り注いだことで湖が決壊、岩と水が集落に向かって押し寄せていった。専門家は温暖化が進めばいつか再び同じ災害が起きるリスクがあると指摘する。集落で18世紀から代々暮らしてきたクリスティアンヌ・アムベさんは住宅改修直後に災害に見舞われた。自治体は氷河の脅威は今も去っていないとして立ち入りを制限した。いつ故郷に戻れるか分かっていない。アムベさんは「私たちは生活のしかたを変えなければならない」などと述べた。専門家たちが調査を進めると氷河が溶けた水は内部に大量に溜まっているケースがあることが分かった。氷河の内部に6万立方メートルもの水があるとみられ、専門家のチームが監視を続けている。氷河が引き起こす洪水によって、世界各地の1,500万人に何らかの影響の可能性との分析もある。パキスタンでは去年、氷河が溶けてできた湖が決壊し洪水が発生し、土砂を含んだ水が人々を襲った。調査チームのリーダー、オリビエ・ガグリアルディーニ教授は「世界の氷河は現在の温暖化による気候のバランスが完全に崩れているため非常に悪い状態にある」などと述べた。6万立方メートルの水が溜まっているとみられている氷河の麓の村では災害への備えが迫られてきた。ペイェックス村長のもと、村では氷河が決壊した場合に警報を流すスピーカーを4か所に設置。遅くとも30分以内の避難をするよう住民に呼びかけている。この日は月に一度の作動確認が行われた。村長は、人々の命を守るには早期避難が重要だと述べた。地域経済への影響が懸念されている。村を訪れる観光客は年間100万人。観光は最大の税収減となってきた。さらに氷河から溶け出す水は家畜の飲み水となっている。酪農家のメランデスさんは、氷河が失われれば伝統的な暮らしが成り立たなくなると不安を口にした。村長は「お金がかかっても人間の命を守らなければならない」などと述べた。
暮らしを支える恵みでもある氷河が今は命を脅かす存在になっている。名古屋大学などが参加する国際的な研究チームが今年5月末に発表した研究結果によると、現在の気候変動対策では世界の氷河の20%余りしか残らないという。パリ協定では世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5℃に抑える努力を目標に掲げている。研究チームの予測では1.5℃に抑えれば約半分残すことも可能としている。
アメリカ・トランプ大統領がSNSでカナダ・カーニー首相宛ての書簡を公表し、カナダからの輸入品に来月1日から35%の関税を課すと明らかにした。トランプ政権はカナダに対し、薬物の流入などを理由に原則25%の関税措置を発動しているが、アメリカ、カナダ、メキシコとの協定に基づく製品は除外されている。今回の35%の関税が除外された製品などに課されるかは明らかにしていない。カナダ政府はアメリカなどの大手IT企業を対象にしたデジタルサービス税を廃止する方針を明らかにしていたが、トランプ大統領は高い関税率を打ち出してさらなる譲歩を迫った形。
アメリカ・ルビオ国務長官は声明で、国連の特別報告者アルバネーゼ氏について“反ユダヤ主義をまき散らしテロ行為への支持を表明してきた”などと非難。また、アルバネーゼ氏が今月発表した報告書で多くのアメリカ企業を名指ししイスラエルによる入植活動などへの関与を指摘したことについても、“政治的経済的な敵対行為で容認できない”と強く反発している。制裁は今年2月にトランプ大統領が出した大統領令に基づくもので、資産が凍結され入国が制限される可能性がある。国連のデュジャリック報道官は、「特別報告者などへの一方的な制裁は受け入れられない」などと述べ、制裁を速やかに撤回するよう求めている。
パレスチナのガザ地区を巡る停戦協議は合意まで時間がかかるという見方も出ている中、ガザ地区ではイスラエルによる攻撃で子どもが犠牲になっていて、一刻も早い停戦を求める声が上がっている。カタールで行われているイスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦協議について、ハマスは9日の声明で“人道支援物資の配給方法やイスラエル軍の撤退範囲をめぐり交渉が続いている”と明らかにした。ロイター通信はイスラエルの政府関係者が“合意にはあと1週間か2週間はかかる”と話したと伝えている。住民は「命の危険なしに食料が手に入ることを望む」などと述べた。パレスチナのメディアは10日、ガザ地区にある子ども向けの食料を配っていた場所の周辺で空爆があり、子どもを含む少なくとも16人が死亡したと伝えた。ガザ地区保健当局によると、ガザ地区での死者は10日時点で5万7,762人となっている。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領は10日、イタリアで始まった国際会議で、激しさを増すロシアの無人機などによる攻撃に対抗するため、防衛産業への投資を呼びかけた。ローマを訪れたゼレンスキー氏は各国の政府や企業関係者などが出席するウクライナ復興について話し合う国際会議で「ロシアのドローンとミサイルを止めなくてはならない。そのためには防衛資材と投資が必要だ」と述べた。ゼレンスキー氏はこの後の会見で“防空システムの「パトリオット」10基を必要としている”と説明。その上で、ドイツが2基、ノルウェーが1基をアメリカから調達しウクライナに供与する用意があり、両国と協議を進めていることを明らかにした。