上月豊久さんは前駐ロシア大使。1981年に東京大学を卒業した後、外務省に入省。在ロシア日本大使館の参事官や公使を歴任。2015年に第2次安倍政権時に駐ロシア大使に就任して、2023年まで戦後最長の8年間務めた。43年間の外務省勤務のうち、17年間モスクワに勤務。現在は千葉工業大学・特別教授、東海大学・教授・平和戦略国際研究所所長を務めている。上月さんはプーチン大統領の印象について「プーチンは30分間1回も表情が変わらない。まばたきさえしないんじゃないかと。体も動かさないというのを見て、この人はKGBで訓練を受けた人だなと思ったのが1番最初」と話した。プーチン大統領は今後の交渉をどう考えているのか。米露首脳会談が開催されたが、3者会談への協議は進んでいない。アメリカのアラスカ州で15日に米露首脳会談が開催されて、会談後の共同会見では、プーチン大統領はトランプ大統領に「次はモスクワで」と呼びかけている。その後の22日に米露関係についてプーチン大統領は、「トランプ大統領の就任でトンネルの先に光が差し始めた」と期待を寄せたが、ウクライナとの首脳会談については、ロシアのラブロフ外相が22日にアメリカNBCのインタビューで「首脳会談は予定されていない。議題が全く整っていない」と、現時点では会談の予定はないと明言している。プーチン大統領は交渉で何を狙っているのか。和平への焦点の1つめは「領土問題」。プーチン大統領は米露首脳会談において、ウクライナ東部のルハンシク州とドネツク州の割譲を要求して、その見返りに他の前線を凍結し新たな攻撃を行わないことを提案したという。アメリカのシンクタンク・戦争研究所によると、ドネツク州の25%程度は制圧に至っておらず、ドネツク州の制圧には数年かかる見込みだと分析している。ウクライナが求める安全の保証はどうなるのか。和平への焦点の2つめ「安全の保証」。ゼレンスキー大統領は23日、安全の保証について「ウクライナと欧米諸国が枠組み策定に向けて作業を進めている。近日中に完了する予定」とSNSに投稿している。一方でロシアのラブロフ外相はアメリカのNBCのインタビューで、「(ロシアなど)国連安全保障理事会メンバーを含む国々が提供すべき」としている。アメリカのウィトコフ特使は17日に「(NATOの集団防衛を定めた)NATO条約第5条に似た安全の保証を提供することをロシア側が認めた」と明らかにしている。さらにバンス副大統領はNBCのインタビューで「ロシアが重大な譲歩姿勢を示している」と主張したという。
